11.頭部外傷を合併した外傷性頸髄損傷に嚥下障害が残存した1症例

症例は65歳, 男性. 2004年11月15日, 外傷にて頭部外傷, C5前方脱臼骨折受傷した. C5以下麻痺出現し, 近医にて観血的脱臼骨折整復, 後方固定術施行, 術後肺炎のため気管切開術施行された. 2月10日当科転院となり, 気管孔を閉鎖し, 嚥下訓練開始した. 体幹角度30°ゼリーでの嚥下造影にて梨状窩への残留と誤嚥を認めた. 嚥下内視鏡検査では, 唾液の貯留が著明であり輪状咽頭筋の開大不全が考えられた. 誤嚥性肺炎も起こしたため, 経口摂取困難と判断し, 胃痩造設術を施行した. 頸髄損傷患者の嚥下障害は, 頸椎前方固定術の選択や気管切開術による人工呼吸管理下であることを除けば, 比...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 42; no. 12; p. 894
Main Authors 伊藤英明, 岩永 勝, 河津隆三, 豊永敏宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.2005
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:症例は65歳, 男性. 2004年11月15日, 外傷にて頭部外傷, C5前方脱臼骨折受傷した. C5以下麻痺出現し, 近医にて観血的脱臼骨折整復, 後方固定術施行, 術後肺炎のため気管切開術施行された. 2月10日当科転院となり, 気管孔を閉鎖し, 嚥下訓練開始した. 体幹角度30°ゼリーでの嚥下造影にて梨状窩への残留と誤嚥を認めた. 嚥下内視鏡検査では, 唾液の貯留が著明であり輪状咽頭筋の開大不全が考えられた. 誤嚥性肺炎も起こしたため, 経口摂取困難と判断し, 胃痩造設術を施行した. 頸髄損傷患者の嚥下障害は, 頸椎前方固定術の選択や気管切開術による人工呼吸管理下であることを除けば, 比較的予後良好との報告が多い. 本症例では, 頭部外傷の合併, 頸髄損傷高位, 年齢, 頸椎後方アプローチ後であることが嚥下障害残存の危険因子と考えられた. 頭部外傷, 頸髄損傷患者の嚥下障害に関して, 若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0034-351X