10. 人工膝関節置換術後の歩行分析-Joint forceについて

Looseningを防止し, 人工膝関節置換術(TKR)の長期に安定した成績を得るためには, 歩行時における膝関節に加わる荷重量を知ることが重要である. Minnsらの方法に準じて, joint forceを算出し, 臨床成績, 歩容との関連について検討を加えた. 対象とした手術症例は17例, 23関節であり, RA9例, 14関節, OA8例, 9関節である. 術後経過期間は平均2.6年である. 三大学案膝機能評価による術後得点は51-96点, 平均71.9点であり, 術後の関節可動域は平均85.9°であった. 膝関節に加わる荷重量は, 内側荷重量はTKR群224.1% BW, 健常群235...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 24; no. 6; p. 374
Main Authors 三井忠夫, 丹羽滋郎, 長谷川博一, 山本隆博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.1987
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:Looseningを防止し, 人工膝関節置換術(TKR)の長期に安定した成績を得るためには, 歩行時における膝関節に加わる荷重量を知ることが重要である. Minnsらの方法に準じて, joint forceを算出し, 臨床成績, 歩容との関連について検討を加えた. 対象とした手術症例は17例, 23関節であり, RA9例, 14関節, OA8例, 9関節である. 術後経過期間は平均2.6年である. 三大学案膝機能評価による術後得点は51-96点, 平均71.9点であり, 術後の関節可動域は平均85.9°であった. 膝関節に加わる荷重量は, 内側荷重量はTKR群224.1% BW, 健常群235.7% BWであり, 外側荷重量はTKR群では64.7% BW, 健常群27.7% BWであった. 総荷重量はTKR群288.5% BW, 健常群263.4% BWであり, TKR群と健常者群との間に有意な差は認められなかった. 歩行時の下腿軸の外方傾斜角が増大するに従い, 内側荷重量は増大し(R=0.65, p<0.001), 総荷重量に対する比率も大きくなる傾向を示した(R=0.61, p<0.02). FTAの増加の増加に伴い, 総荷重量に対する内側荷重量の割合は増大する傾向がみられ(R=0.64, p<0.001), 床反力が加わることを示している. Tibial componentの内反位設置により, 内側荷重量の割合が増大する傾向が見られ(R=0.53, p<0.001), 内反momentも大きくなることを示している. 以上, TKR群の膝関節荷重量はFTA, 歩行時の下肢alignmentおよびtibial componentの設置角度と密接に関連しており, これらの適正なalignmentがlooseningを防止し長期に安定した手術成績を維持するために極めて重要であると考えられる. 質問 日本医大 飯盛仁志:TKRを施行した場合, 関節面は旧関節面とその位置が変化することが多い. 軟部組織は旧関節面の位置に適合するように存在するわけだが, このことよりjoint forceは関節面の位置によっても影響を受けるのではないだろうか. 答 三井忠夫:術前 術後の各パラメータより荷重量を算出しておりますので, 影響はあると考えます. しかし, alignmentの方がより大きな影響を与える因子と考えます. また軟部組織特に靱帯の緊張は大変重要だと考えております. 手術時の骨切りに際しては, 大腿顆部をできるだけ残し, 解剖学的に近い位置にprosthesisを挿入するよう心がけております.
ISSN:0034-351X