8. 坐位を中心とした体幹バランス評価法の試み
【目的】従来, 坐位安定性の評価は, 静止坐位の安定, 不安定の評価のみであったが, 日常生活では, 体をひねって床頭台の物をとる, 前屈して靴をはく, 伸び上がって物をとる等の動作を加えると, 坐位安定性が崩れることはよく経験される. 今回ADCを反映した体幹バランス評価法の開発の第一段階として坐位パフォーマンステスト(以下Pテスト)を考案し, 有効性および妥当性を検討した. 【方法】1988年10月より1989年3月に当科に新規入院した脳血管障害患者43名に対し, Pテストをすべて演者が行った. テスト項目は, (1)閉眼, (2)頸の回旋, (3)体幹後屈, (4)体幹前屈, (5)上肢...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 26; no. 5; p. 374 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.09.1989
社団法人日本リハビリテーション医学会 The Japanese Association of Rehabilitation Medicine |
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 【目的】従来, 坐位安定性の評価は, 静止坐位の安定, 不安定の評価のみであったが, 日常生活では, 体をひねって床頭台の物をとる, 前屈して靴をはく, 伸び上がって物をとる等の動作を加えると, 坐位安定性が崩れることはよく経験される. 今回ADCを反映した体幹バランス評価法の開発の第一段階として坐位パフォーマンステスト(以下Pテスト)を考案し, 有効性および妥当性を検討した. 【方法】1988年10月より1989年3月に当科に新規入院した脳血管障害患者43名に対し, Pテストをすべて演者が行った. テスト項目は, (1)閉眼, (2)頸の回旋, (3)体幹後屈, (4)体幹前屈, (5)上肢挙上, (6)側方への重心移動, (7)体幹回旋の7項目で, 各項目を正常(3), 適応(2), 異常(1), 不能(0)の4段階評価とし, 総得点につき検討した. Pテストは, Tinettiらの立位における動的バランステストを原法として, これを坐位用に改変し得点づけを行ったものである. 【結果および考察】(1)Pテストと静的坐位バランスとの間には0.75程度の相関があったが, 坐位が支持なしで安定の30名のうち14名(46.7%)は, Pテストで何らかの不安定徴候がみられた. (2)Pテストの得点と寝返り, 立位バランス, 移動能力, Barthel Indexとの相関はいずれも静的坐位バランスとの相関よりも高く(各々0.736対0.493, 0.832対0.526, 0.865対0.732, 0.899対0.690), これらの能力をよりよく反映すると考える. また, 既製テストとの相関も有意に高かった. 質問 北里研究所 内山靖:(1)「体幹バランス」を評価する際に, 深くこしかけた端坐位(足底を床面につけている)で行い, その目的を十分に達成できるのか. 答(1)「坐位を中心とした体幹バランス評価法」は今回の発表のテストを発展させて既に作成してあるが, ご指摘の点を考慮して更に検討を行いたい. (座長のadaptiveとabnornalとの差は, との質問に対して) ; ほぼ原法に忠実に判定規準を日本語訳にしたもので, 難易度については未検討です. |
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ISSN: | 0034-351X |