7. 回復期リハビリテーション病棟からの自宅退院阻害要因-老年医学的総合機能評価(CGA)による検討

【目的】CGAによる回復期リハビリテーション病棟自宅退院阻害要因の検討. 【対象, 方法】対象:2001年1月~2002年12月に回復期リハ病棟に自宅退院希望で入院した103名(男性35例, 女性68例)78.3±8.0歳を対象とした. 方法:対象を自宅退院群(1群), 非自宅退院群(2群)に分け, CGAの結果より年齢, 性, 基礎疾患{脳血管系(C), 骨, 関節系(B), 廃用症候群(D)}, 認知(HDS-R), ADL(Barthel Index), 排泄(MDS-1), 栄養(血清アルブミン:SA), 社会背景(SI)を群間比較の上検討した. 【結果】1)単変量解析:(1)年齢,...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 42; no. 1; p. 75
Main Authors 峯廻攻守, 松尾雪絵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.01.2005
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:【目的】CGAによる回復期リハビリテーション病棟自宅退院阻害要因の検討. 【対象, 方法】対象:2001年1月~2002年12月に回復期リハ病棟に自宅退院希望で入院した103名(男性35例, 女性68例)78.3±8.0歳を対象とした. 方法:対象を自宅退院群(1群), 非自宅退院群(2群)に分け, CGAの結果より年齢, 性, 基礎疾患{脳血管系(C), 骨, 関節系(B), 廃用症候群(D)}, 認知(HDS-R), ADL(Barthel Index), 排泄(MDS-1), 栄養(血清アルブミン:SA), 社会背景(SI)を群間比較の上検討した. 【結果】1)単変量解析:(1)年齢, 性:有意の関連はなかった. (2)基礎疾患:B>D>Cの順に自宅退院率が高かったが有意ではなかった. (3)認知機能:2群は入退院時共に有意に低得点であり, 入院中に得点が有意に低下した. (4)ADL:2群は入, 退院時共に有意に低得点であり, 改善も有意ではなかった. (5)排泄機能:2群は入, 退院時共に有意に低得点であり, 改善度も有意ではなかった. (6)栄養機能:2群はSAが入院時に有意に低値であった. (7)社会背景:SIの得点には有意の差は認められなかった. 2)多変量解析:前記検討項目中, 有意の関連を持つ特定の要因は検出できなかった. 【考察】当院の回復期リハ病棟では, 入院時自宅退院希望を表明した症例中, 自宅退院例は73%であった. 故に自宅退院阻害要因の検討は継続して重要課題である. 今回研究では, CGAを用いて検討したが, 老年病症候群の主体をなす, 認知, ADL, 失禁の病態とその基礎背景である栄養状態を含めてそれぞれが阻害要因であることが示唆された. 多変量解析では特定要因の同定に至らなかったが, 入院時に痴呆を認め, 入院中痴呆の進行例では全例が自宅退院できなかったことが1つのヒントになるものと考えられる. 故に回復期リハ病棟においてはCGAに基づく木目細やかなリハ総合計画の策定が重要と考えられた.
ISSN:0034-351X