1.Punched-out lesionを呈した肺癌骨転移の一例

症例は50歳の女性. 平成13年12月頃, 後頭部の皮下腫瘤に気付き, さらに右前頭部にも同様の病変が出現したため, 平成14年4月に当院脳神経外科を受診. 頭部X-Pでは, 多発性骨髄腫を疑うPunched-out lesionが散在し, MRIでは髄膜腫を疑う腫瘤が頭蓋骨に接して認められた. 血液内科に紹介となったが, 血液疾患は否定的であり, 胸部X-Pにて両肺野に多発性の結節影が認められたため当科に紹介となり, 胸部CTでも右下葉の腫瘤影と両肺野の禰漫性結節影が指摘された. 原発性肺癌とその肺内転移と考えられ, 右下葉の腫瘤より経気管支肺生検を行い, 「Moderately~well...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 53; no. 2; p. 223
Main Authors 小野昭浩, 吉井明弘, 秋山真人, 田谷禎増, 栗原秀行, 吉田カツ江, 伴聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.05.2003
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Summary:症例は50歳の女性. 平成13年12月頃, 後頭部の皮下腫瘤に気付き, さらに右前頭部にも同様の病変が出現したため, 平成14年4月に当院脳神経外科を受診. 頭部X-Pでは, 多発性骨髄腫を疑うPunched-out lesionが散在し, MRIでは髄膜腫を疑う腫瘤が頭蓋骨に接して認められた. 血液内科に紹介となったが, 血液疾患は否定的であり, 胸部X-Pにて両肺野に多発性の結節影が認められたため当科に紹介となり, 胸部CTでも右下葉の腫瘤影と両肺野の禰漫性結節影が指摘された. 原発性肺癌とその肺内転移と考えられ, 右下葉の腫瘤より経気管支肺生検を行い, 「Moderately~well differentiated adenocarcinoma」と診断した. また脳神経外科にて後頭部皮下腫瘤の生検を行ったところ, 骨梁の周囲に肺生検と同様の組織所見を認め, 肺癌の頭蓋骨転移と診断された. 両組織は, 「CK7(サイトケラチン)」による特殊染色でも同様に染色され, 同染色法は転移の診断に有効と思われた. その後, 転移腫瘍は脳内でも増大し, 頭蓋内圧亢進症状を来たすに及んだ. 肺癌の骨転移でも, 頭蓋骨中心の転移により頭皮下腫瘤を呈した稀な症例であり報告した.
ISSN:1343-2826