1. 一酸化炭素中毒後パーキンソニズムの1例-投薬コントロールとリハビリテーション効果に関する考察

急性一酸化炭素中毒後パーキンソン症候群を呈した症例を経験した. 本病態に対するリハビリテーションの報告は少なく, 投薬コントロールとリハ効果に関して文献的考察を加えて報告する. 【症例】70歳, 女性. うつ病の既往があり, 内服加療していた. 【経過】自室の火災による熱傷(気道を含む)のため救急部入院. 一酸化炭素中毒を伴っていた. 受傷33日目にリハ科転科. 振戦, 固縮, 跛行, 仮面様顔貌を認め, 頭部CT(コンピュータ断層撮影)にて両側淡蒼球に低吸収域が出現しており, 急性一酸化炭素中毒後のパーキンソニズムと診断した. 神経科よりパーキンソニズムに対してレボドパ, カルビドパ配合剤(...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 43; no. 7; p. 474
Main Authors 小笠原浩気, 石合純夫, 村上孝徳, 土岐めぐみ, 本間真理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.07.2006
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:急性一酸化炭素中毒後パーキンソン症候群を呈した症例を経験した. 本病態に対するリハビリテーションの報告は少なく, 投薬コントロールとリハ効果に関して文献的考察を加えて報告する. 【症例】70歳, 女性. うつ病の既往があり, 内服加療していた. 【経過】自室の火災による熱傷(気道を含む)のため救急部入院. 一酸化炭素中毒を伴っていた. 受傷33日目にリハ科転科. 振戦, 固縮, 跛行, 仮面様顔貌を認め, 頭部CT(コンピュータ断層撮影)にて両側淡蒼球に低吸収域が出現しており, 急性一酸化炭素中毒後のパーキンソニズムと診断した. 神経科よりパーキンソニズムに対してレボドパ, カルビドパ配合剤(メネシット(R))300mg(分3)を開始されるも, せん妄が悪化したため150mg(分3)に減量した. 理学療法に加え, 作業療法で高次脳機能へのアプローチを行い, パーキンソニズムの改善と病棟内ADL(日常生活動作)のほぼ自立が得られた. SPECT(単一フォトン断層撮影)にて転院前に明らかな血流低下を認めないことを確認した. 【まとめ】一酸化炭素中毒後パーキンソニズムの症例を経験した. 報告では, 一酸化炭素中毒後パーキンソニズムに対する抗パーキンソン病薬が有効というエビデンスは乏しい. また, 一酸化炭素中毒後パーキンソニズムは長期予後が必ずしも悪くないとされ, 我々も用量を増やすことなく改善を得た. 神経, 精神症状の投薬コントロールを含めて, 有効なリハが達成できたと考える.
ISSN:0034-351X