10. 山梨県内の職業性蜂アレルギーの実態とその対策

近年, 蜂刺し症による死亡が社会的にクローズアップされ, 山梨県内においても林業従事者が作業中に死亡するという事故が発生した. 本研究では山梨県内の職業性蜂アレルギーの実態を調査するために, 山梨県森林組合所属の林業従事者(349名/内女性10名)と山梨県庁で蜂曝露の可能性のある作業に従事している職員(599名/男性515名・女性84名)を対象に, 蜂(アシナガ・スズメ・ミツ)に対する抗体(血液)検査を実施した. その結果, 林業従事者の抗体陽性率は約60%, 県庁職員の抗体陽性率は約15%となり, 曝露機会(時間)の差に比例していた. また, 抗体陽性者は男性に多く, 経験年数に相関していた...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 50; no. 1; p. 30
Main Authors 金子誉, 川上敦史, 末廣真知子, 林部里栄子, 牧野麻美, 古屋貴美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.01.2008
公益社団法人日本産業衛生学会
Japan Society for Occupational Health
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ISSN1341-0725

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Summary:近年, 蜂刺し症による死亡が社会的にクローズアップされ, 山梨県内においても林業従事者が作業中に死亡するという事故が発生した. 本研究では山梨県内の職業性蜂アレルギーの実態を調査するために, 山梨県森林組合所属の林業従事者(349名/内女性10名)と山梨県庁で蜂曝露の可能性のある作業に従事している職員(599名/男性515名・女性84名)を対象に, 蜂(アシナガ・スズメ・ミツ)に対する抗体(血液)検査を実施した. その結果, 林業従事者の抗体陽性率は約60%, 県庁職員の抗体陽性率は約15%となり, 曝露機会(時間)の差に比例していた. また, 抗体陽性者は男性に多く, 経験年数に相関していた. 蜂アレルギーによる死亡防止対策として, ハイリスクの抗体陽性者にショックに対する緊急治療薬(エピペン(R))を処方した. しかし, エピペン(R)の処方は約5割にとどまっており, 継続的な啓蒙と教育の必要性が示唆された.
ISSN:1341-0725