働く人の健康(元気)を生み出す組織(職場)づくり(IV)-雇用形態・職階上の問題点と対策

今回は, 「雇用形態・職階上の問題点と対策」のうち, 「雇用形態」についてのみ取り上げ, 「職階・職能」については, 来年18回協議会(松山)にて取り上げることとした. 参加数は約80名, 8班に分かれて検討を行った. 全員が, 雇用形態に関する問題点を「抜本的な事柄(以下抜本問題点と略)」と「職場で解決可能な事柄(以下卑近問題点と略)」について各々2点ずつ付箋に記して提出した. 班毎にそれぞれ2項目にまとめ, 次に各班から2名の代表が参集し(会場中心のコアテーブルにて)抽出された問題点の共有化と整理を行い, 各々の事柄に対し更なる問題集約を行った(この間のやり取りはマイクで全員が聴けるように...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 50; no. 2; p. 61
Main Authors 広瀬俊雄, 和田晴美, 中明賢二, 田畑正司, 井手玲子, 村田克, 小野田富貴子, 川名ヤヨ子, 宮本俊明, 加藤元, 清水靖仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.03.2008
公益社団法人日本産業衛生学会
Japan Society for Occupational Health
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ISSN1341-0725

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Summary:今回は, 「雇用形態・職階上の問題点と対策」のうち, 「雇用形態」についてのみ取り上げ, 「職階・職能」については, 来年18回協議会(松山)にて取り上げることとした. 参加数は約80名, 8班に分かれて検討を行った. 全員が, 雇用形態に関する問題点を「抜本的な事柄(以下抜本問題点と略)」と「職場で解決可能な事柄(以下卑近問題点と略)」について各々2点ずつ付箋に記して提出した. 班毎にそれぞれ2項目にまとめ, 次に各班から2名の代表が参集し(会場中心のコアテーブルにて)抽出された問題点の共有化と整理を行い, 各々の事柄に対し更なる問題集約を行った(この間のやり取りはマイクで全員が聴けるようにした). 「抜本問題点」と「卑近問題点」各々代表的なものを抽出し, 全班で「対策・改善案」を持ち帰り検討した. 雇用形態における「抜本問題点」として, (1)多様化している雇用形態の現状に対し, 安衛法をはじめとする労働関連諸法の不備があること, (2)雇用の不安定な現状が抽出された. 「卑近問題点」として, (1)同一職場内で, 多様な雇用形態に基づく従業員が混在を背景とした業務と待遇のアンバランスに起因したコミュニケーション不足や業務負荷増加に伴う職場環境の悪化, (2)非正規職員に対する健康管理・保健指導の不徹底の2点が抽出された. 8班から出された「対策・改善案」として「抜本問題点」では, (1)法体制不備に対してi)当学会をはじめ関連学会・団体がHPなどを通じて問題の明確と表面化を進める, ii)社会や企業に対して, 雇用問題がCSRにおける一大テーマである認識をもつように働きかける, iii)大企業や公的企業など特に雇用者数が多いところに対し, 正規と非正規職員比率を明確化し正規職員枠の拡大と確保を図る, などの意見があった. (2)不安定な雇用形態に対しては, i)非正規→正規職員への移行促進策を検討し, 正規職員枠拡大を図る, ii)非正規職員に対する健康保険, 各種福利厚生施策など社会保障制度の充実を図り, 経済社会生活の質的向上を図る, といった意見が報告された. また, 「卑近問題点」では, (1)コミュニケーション不足問題については, i)もれなく全職員の意見をくみ上げる場(例:安全衛生委員会)の設定と参加保証, ii)職制を通じた声かけ(朝会や休憩時を利用)励行, iii)各職場内にコミュニケーションの要となるようなキーパーソン配置と処遇検討, iv)管理職に対するコミュニケーション能力や改善成果を人事考課に反映させる, v)産業保健スタッフは雇用状況別に健康問題を拾い上げ, 安全衛生委員会を通じ事業者に注意や改善喚起を進める, などの意見が報告された. (2)非正規職員に対する健康管理・保健指導の不徹底については, i)派遣元と派遣先間で個人情報保護に配慮した, ii)健康情報や保健指導情報の共有化推進, iii)メンタルヘルス相談窓口の明確化, 等であった.
ISSN:1341-0725