2. ヒト甘味およびうま味受容体T1Rファミリー遺伝子のプロモーター領域の解析

T1Rファミリー(T1R1, T1R2, T1R3)は味蕾においてヘテロ受容体(T1R1/T1R3, T1R2/T1R3)として, それぞれうま味および甘味受容に関与している. T1Rファミリーは味蕾以外の, 小腸, 大腸, 肝臓の胆管上皮においても発現しており, 生体内において一種の化学受容体として機能していると推測されている. T1Rファミリーは生体内において重要な受容体であると考えられるが, その転写調節機構に関しては殆ど明らかになっていない. そこで本研究ではヒト大腸由来細胞株Caco-2およびヒト胆管由来細胞株HuCCT1をT1Rファミリー発現細胞のモデルとしてプロモーター領域の解析...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 61; no. 4/5; p. 121
Main Authors 豊野 孝, 瀬田祐司, 片岡真司, 豊島邦昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 25.11.2007
Kyushu Dental Society
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ISSN0368-6833

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Summary:T1Rファミリー(T1R1, T1R2, T1R3)は味蕾においてヘテロ受容体(T1R1/T1R3, T1R2/T1R3)として, それぞれうま味および甘味受容に関与している. T1Rファミリーは味蕾以外の, 小腸, 大腸, 肝臓の胆管上皮においても発現しており, 生体内において一種の化学受容体として機能していると推測されている. T1Rファミリーは生体内において重要な受容体であると考えられるが, その転写調節機構に関しては殆ど明らかになっていない. そこで本研究ではヒト大腸由来細胞株Caco-2およびヒト胆管由来細胞株HuCCT1をT1Rファミリー発現細胞のモデルとしてプロモーター領域の解析を行った. 最初にヒトT1R1, T1R2, T1R3のプロモーター領域の検索をシフェラーゼアッセイ法を用いて行ったところ, T1R1およびT1R3に関してはそれぞれ開始コドン上流領域120bpおよび160bpの領域にプロモーター領域が含まれることが明らかになった. T1R2に関しては開始コドン上流領域3kb内にプロモーター領域は同定出来なかった. 次にT1R3のプロモーター領域中のC/EBP結合配列と相同性の高い配列に関して, 部位特異的変異法および過剰発現実験などによる解析を行った. その結果, その配列にはC/EBPβが結合し, T1R3の転写の活性化に関与していることが明らかになった.
ISSN:0368-6833