14.肝虚血再灌流傷害に対するMAPK抑制の効果
【目的】肝温阻血再灌流傷害モデルで, 虚血時間別の傷害の程度とp38MAPK, JNK, ERKの活性化との関係について検討し, さらにp38MAPK阻害剤の臓器保護効果を検討した. 【方法】SDラットを用い, プリングル法で全肝虚血を行った. (実験1)虚血時間別に非虚血群, A群:15分, B群:30分, C群:45分とし, 再灌流30分後にwestern blotting法でMAPKの活性化を調べた. 再灌流2時間後のTNFα, IL-1β, AST, ALT, LDH, 肝の組織学的検討および経時的な肝組織血流を比較した. (実験2)30分虚血でFRI67653を投与したFR群とveh...
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Published in | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 54; no. 3; p. 283 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
北関東医学会
01.08.2004
Kitakanto Medical Society |
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ISSN | 1343-2826 |
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Summary: | 【目的】肝温阻血再灌流傷害モデルで, 虚血時間別の傷害の程度とp38MAPK, JNK, ERKの活性化との関係について検討し, さらにp38MAPK阻害剤の臓器保護効果を検討した. 【方法】SDラットを用い, プリングル法で全肝虚血を行った. (実験1)虚血時間別に非虚血群, A群:15分, B群:30分, C群:45分とし, 再灌流30分後にwestern blotting法でMAPKの活性化を調べた. 再灌流2時間後のTNFα, IL-1β, AST, ALT, LDH, 肝の組織学的検討および経時的な肝組織血流を比較した. (実験2)30分虚血でFRI67653を投与したFR群とvehicleを投与したcontrol群とに分けた. 再灌流30分後のMAPKの活性化, 再灌流2時間後の組織所見, TNFα, IL-1β, AST, ALT, LDHと経時的な肝組織血流を比較した. 【結果】(実験1)B, C群がA群および非虚血群に比べ組織学的傷害, 肝組織血流は有意に悪化し, AST, ALT, LDH, TNFα, IL-1βは有意に上昇した. p38MAPKとJNKの活性化はB群, C群がA群および非虚血群に比べ有意に増加した. ERKの活性化は虚血群で非虚血群に比べ有意に増加した. (実験2)FR群がcontro1群に比べ組織学的傷害, 肝組織血流, AST, ALT, LDH, TNFα, IL-1βを有意に改善し, p38MAPKの活性化を有意に抑制したが, JNKとERKの活性化は抑制しなかった. 【結語】ラットのプリングル法での肝温阻血再灌流傷害モデルで30分以上の虚血で再灌流傷害は明らかに増大し, p38MAPK, JNK, ERKの活性化も著明となる. p38MAPKの活性化の抑制で肝虚血再灌流傷害は改善する. |
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ISSN: | 1343-2826 |