嚥下・呼吸障害における気道管理

「1. はじめに」Arvedsonらは, 呼吸と摂食は子どもが生まれて最初に見せる最も基本的な生理機能である, と述べている. また, 十分な換気の供給と誤嚥防止に有効でかつ効率的な気道の維持は, 摂食や嚥下に問題を持つ乳幼児および子どもにとって重大である, とも述べている. ヒトは, 呼吸と嚥下において咽頭部分を共有している. これによって, 言語機能を獲得することができた. しかし一方で, 嚥下の問題が呼吸の問題を, 逆に気道の問題が嚥下の問題を引き起こすことがある. 唾液や食物による刺激が咽頭の感覚受容器から弧束核に伝達されると, 一連の嚥下筋群の運動パターンをプログラムしている延髄網様...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 120; no. 5; pp. 765 - 768
Main Author 森正博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本耳鼻咽喉科学会 20.05.2017
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ISSN0030-6622

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Summary:「1. はじめに」Arvedsonらは, 呼吸と摂食は子どもが生まれて最初に見せる最も基本的な生理機能である, と述べている. また, 十分な換気の供給と誤嚥防止に有効でかつ効率的な気道の維持は, 摂食や嚥下に問題を持つ乳幼児および子どもにとって重大である, とも述べている. ヒトは, 呼吸と嚥下において咽頭部分を共有している. これによって, 言語機能を獲得することができた. しかし一方で, 嚥下の問題が呼吸の問題を, 逆に気道の問題が嚥下の問題を引き起こすことがある. 唾液や食物による刺激が咽頭の感覚受容器から弧束核に伝達されると, 一連の嚥下筋群の運動パターンをプログラムしている延髄網様体の嚥下中枢パターン形成器(CPG)に伝達され, 疑核・舌下神経核を介して一連の嚥下関連筋群が駆動して嚥下運動が起こる. 咽頭期嚥下にて, 喉頭挙上・喉頭蓋の下方への倒れ込みにより喉頭閉鎖される.
ISSN:0030-6622