7.脳血管系疾患に起因する老年病症候群に対する維持期リハビリテーション効果の検討

【目的】脳血管系疾患にて老年病症候群を呈した, 入院患者において, MDSを主とするCGAを継時的に実施, 維持期リハビリテーション効果を検討した. 【対象】脳血管障害にて老年病症候群を呈した入院患者を, 1999年1月より2000年1月にかけ通年リハ技術職の関わったリハ実施群131例とリハ非実施群313例の2群に分け, 以下の評価尺度を両群間にて比較検討した. 【方法】(1)認知:CPSおよびNMを用いた. (2)ADL:MDSC-1項を得点化した尺度(MDS-ADL)およびN-ADLを用いた. (3)失禁:MDS, C8項の得点化した尺度(MDS-I)を用いた. (4)転倒:転倒を含め,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inリハビリテーション医学 Vol. 43; no. 1; p. 66
Main Author 峯廻攻守
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.01.2006
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
Online AccessGet full text
ISSN0034-351X

Cover

More Information
Summary:【目的】脳血管系疾患にて老年病症候群を呈した, 入院患者において, MDSを主とするCGAを継時的に実施, 維持期リハビリテーション効果を検討した. 【対象】脳血管障害にて老年病症候群を呈した入院患者を, 1999年1月より2000年1月にかけ通年リハ技術職の関わったリハ実施群131例とリハ非実施群313例の2群に分け, 以下の評価尺度を両群間にて比較検討した. 【方法】(1)認知:CPSおよびNMを用いた. (2)ADL:MDSC-1項を得点化した尺度(MDS-ADL)およびN-ADLを用いた. (3)失禁:MDS, C8項の得点化した尺度(MDS-I)を用いた. (4)転倒:転倒を含め, 問題領域(RAPs)の出現率およびその変化を用いた. (5)栄養:血清アルブミン値(SA)を用いた. 【結果】(1)認知:CPS, NM共に, リハ実施群では, 機能低下の有意な抑制効果が認められた. (2)ADL:MDS-ADL, N-ADL共に有意の差はなかったが, 下位項目では前者で, 移動, 個人衛生, 入浴で機能低下を抑制する傾向が, また後者では歩行, 起座にて有意の機能低下の抑制効果がリハ実施群にて認められた. (3)失禁:有意の差なし. (4)転倒:RAPs11(転倒)を含めて4(コミュニケーション), 14(脱水)では, 出現率の増加がリハ実施群にて有意に抑制されるか, またその傾向が認められた. (5)栄養:リハ実施群にて機能低下を抑制する傾向が認められた. 【考察】QOLを重視する老年医学の立場からもまた全人的復権を目的とするリハ医学の立場からも, 脳血管系疾患を有する, 老年病患者に対する維持期リハの必要性とその意義が示唆されたものと考えられる. MDS:Minimum Data-Set CGA:Comprehensive Geriatric Assessment CPS:Cognitive Performance Scale NM:N式老年者用精神状態尺度 N-ADL:N式老年者用日常生活動作能力評価尺度 RAPs:Resident Assessment Protocols
ISSN:0034-351X