特別講演:レビー小体病の病理-タンパク癌仮説, dual hit仮説(外因説)の検証の試みを中心に

本講演では中枢神経系, および末梢自律神経系におけるレビー小体・レビー突起の基本病理と, 高感度免疫染色による病理について概説し, パーキンソン病が全身病であることを示す(図8). また近年, レビー小体病理は一個体において病変が進展するという説が出た. 本講演ではレビー小体病理の進展について, Braakらが提唱する末梢自律神経系からの伸展, あるいは嗅粘膜からの侵入という, 二重攻撃説(dural hit hypothesis)についてふれる. 「1. 高感度免疫染色による病理」 パーキンソン病(以下PD)にレビー小体が出現することは1912年にはじめて記載された. 黒質や青斑核などの脳幹...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 60; no. 2; pp. 110 - 118
Main Authors 齊藤祐子, 池田修一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 10.04.2012
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ISSN0037-3826

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Summary:本講演では中枢神経系, および末梢自律神経系におけるレビー小体・レビー突起の基本病理と, 高感度免疫染色による病理について概説し, パーキンソン病が全身病であることを示す(図8). また近年, レビー小体病理は一個体において病変が進展するという説が出た. 本講演ではレビー小体病理の進展について, Braakらが提唱する末梢自律神経系からの伸展, あるいは嗅粘膜からの侵入という, 二重攻撃説(dural hit hypothesis)についてふれる. 「1. 高感度免疫染色による病理」 パーキンソン病(以下PD)にレビー小体が出現することは1912年にはじめて記載された. 黒質や青斑核などの脳幹に出現する脳幹型に対する命名であったが, その後小阪らは, 皮質型レビー小体を見いだし, び漫性レビー小体病を報告した1). 次いでレビー小体が抗ユビキチン抗体免疫染色で陽性であることが報告され2), さらにレビー小体の主要な構成蛋白がα-synucleinであることが発見された.
ISSN:0037-3826