メンタルトレーニングとカウンセリングの連携 ―メンタルトレーニングからカウンセリングに移行した心理サポート事例

「問題と目的」 マートン(1991)は, アスリートの心理サポートを「異常な行動からふつうの行動」までを臨床スポーツ心理学者, そして「ふつうの行動から優れた行動」までを教育的スポーツ心理学者の守備範囲として明確に区分けしている. この区分けと対応するかのように, 現場でのアスリートの心理サポートはメンタルトレーニング(以下, MTと表記する)とカウンセリングといった2つの立場(アプローチの方法)が対峙されている. 一部の研究者は心理サポートにおける臨床心理学的アプローチの可能性について再検討する必要を主張しているが(Strean and Strean, 1998;Conroy and Ben...

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Published inスポーツ心理学研究 Vol. 36; no. 1; pp. 23 - 36
Main Authors 平木貴子, 中込四郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本スポーツ心理学会 2009
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ISSN0388-7014

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Summary:「問題と目的」 マートン(1991)は, アスリートの心理サポートを「異常な行動からふつうの行動」までを臨床スポーツ心理学者, そして「ふつうの行動から優れた行動」までを教育的スポーツ心理学者の守備範囲として明確に区分けしている. この区分けと対応するかのように, 現場でのアスリートの心理サポートはメンタルトレーニング(以下, MTと表記する)とカウンセリングといった2つの立場(アプローチの方法)が対峙されている. 一部の研究者は心理サポートにおける臨床心理学的アプローチの可能性について再検討する必要を主張しているが(Strean and Strean, 1998;Conroy and Benjamin, 2001), 欧米の多くは, 両者を明確に区分けする立場から, MTとカウンセリングの連携のあり方を議論するまでには至っていないようである. しかしながら, わが国では, 「スポーツメンタルトレーニング指導士」(日本スポーツ心理学会認定)と「認定スポーツカウンセラー」(臨床心理身体運動学会認定)の2つの資格認定制度が存在し, 2つのアプローチに対してその異同, 棲み分け, 連携そして融合等について討議がなされてきている.
ISSN:0388-7014