1カ月健診の体重増加不良を契機に発見された乳児型低ホスファターゼ症の1例
「Iはじめに」低ホスファターゼ症は組織非特異的アルカリホスファターゼ(tissue nonspecific alkaline phosphatase, 以下TNSALP)の活性低下を特徴とし, 全身骨の低石灰化とくる病様変化を呈する疾患である1). 主に常染色体劣性遺伝形式を示し, 発症時期や症状により周産期型, 乳児型, 小児型, 成人型, 歯限局型の5つの病型に分類される. 早期に発症するタイプほど症状が重いとされ, 最も重症型である周産期型は10万出生に1人程度の頻度でみられる2). 今回乳児型低ホスファターゼ症の1例を経験し, TNSALP遺伝子解析の結果と合わせて報告する. 「II症...
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Published in | 信州医学雑誌 Vol. 55; no. 6; pp. 333 - 337 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
信州医学会
2007
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ISSN | 0037-3826 |
DOI | 10.11441/shinshumedj.55.333 |
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Summary: | 「Iはじめに」低ホスファターゼ症は組織非特異的アルカリホスファターゼ(tissue nonspecific alkaline phosphatase, 以下TNSALP)の活性低下を特徴とし, 全身骨の低石灰化とくる病様変化を呈する疾患である1). 主に常染色体劣性遺伝形式を示し, 発症時期や症状により周産期型, 乳児型, 小児型, 成人型, 歯限局型の5つの病型に分類される. 早期に発症するタイプほど症状が重いとされ, 最も重症型である周産期型は10万出生に1人程度の頻度でみられる2). 今回乳児型低ホスファターゼ症の1例を経験し, TNSALP遺伝子解析の結果と合わせて報告する. 「II症例」症例:1カ月, 男児. 主訴:体重増加不良. 家族歴:母が橋本病で2年前からレボチロキシンナトリウムを内服中. 周産期および既往歴:母の妊娠中特記すべきことなし. 在胎38週2日, 出生時体重2,952g, 身長51cm, 頭位34.5cm. Apgar scoreは1分8点, 5分9点. 周産期感染症(起因菌特定できず)で日齢2-5に抗生剤治療, 新生児黄疸で日齢3-5に光線療法を受けた. 現病歴:1カ月健診で1日体重増加13gと不良を指摘されたため哺乳指導しつつ経過観察したが, 体重増加傾向がみられなかったため精査治療目的で入院となった. 栄養は母乳とミルクの混合で, 母乳への吸い付きが弱く, ミルクの哺乳量は1日1回30mlだった. 入院時現症:体温37.1℃, 血圧90/50mmHg. 体重3,202g(-2.7SD), 身長53cm(-1.4SD), 頭囲34.5cmで出生時と比べいずれも増加を認めなかった. |
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ISSN: | 0037-3826 |
DOI: | 10.11441/shinshumedj.55.333 |