11.川崎病患者におけるガンマグロブリン超大量療法抵抗例の予測とステロイド初期投与の効果
【目的】川崎病治療前の患者背景, 血液検査結果からガンマグロブリン超大量療法(IVIG)の治療抵抗例予測スコアを作成し, ステロイド初期投与の効果を層別化した上で検討すること. 【対象と方法】2000年9月~2005年3月までの期間に, 群馬大学小児科関連12病院で川崎病と診断されIVIGを施行された731例を後方視的に検討した. そのうち初期治療としてステロイドが投与された症例(IVIG+PSL)はll5例であった. まずIVIG群において, 患者背景(3因子)および治療開始前血液検査結果(13因子), 計16因子から単変量解析により2群間に有意差を認めた独立変数を抽出した. 次にロジスティ...
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Published in | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 55; no. 3; pp. 310 - 311 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
北関東医学会
01.08.2005
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ISSN | 1343-2826 |
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Summary: | 【目的】川崎病治療前の患者背景, 血液検査結果からガンマグロブリン超大量療法(IVIG)の治療抵抗例予測スコアを作成し, ステロイド初期投与の効果を層別化した上で検討すること. 【対象と方法】2000年9月~2005年3月までの期間に, 群馬大学小児科関連12病院で川崎病と診断されIVIGを施行された731例を後方視的に検討した. そのうち初期治療としてステロイドが投与された症例(IVIG+PSL)はll5例であった. まずIVIG群において, 患者背景(3因子)および治療開始前血液検査結果(13因子), 計16因子から単変量解析により2群間に有意差を認めた独立変数を抽出した. 次にロジスティックモデルを用い多変量解析を行い, 寄与の大きい独立変数を決定した. 連続変数をカテゴリー化して予測式を簡易化するためにROC曲線により各変数のcut off値を求め, 再度ロジスティックモデルによる多変量解析を行い, Odds比から重み付けをし, IVIG抵抗例の転帰予測スコアを作成した. 予測スコアからhigh risk群とlow risk群の二群に層別化し, Fisher's exact testでrisk別にIVIG群とIVIG+PSL群の転帰について解析した. 【結果】単変量解析の結果治療開始病日, 好中球%, Plt, AST, ALT, T. Bil, Na, Cl, TP, Alb, CRPが統計学的に有意であった. これら11変数に月齢, 性別を加えた13変数を独立変数としてlogistic analysis(stepwise法)を行った結果, モデル内にAST, Na, 治療開始病日, 好中球%, CRP, Plt, 月齢が選択された. これら7変数を用い治療抵抗例の転帰予測スコアを作成した結果, 81.6%の感度, 71.7%の特異度でIVIG抵抗例を予測可能であった. Low risk群ではIVIG群とIVIG+PSL群との間で有意な差を認めなかったのに対し(P=0.780), high risk群ではIVIG+PSL群がIVIG群に比べ有意に治療抵抗例が少なかった(P=0.005). 【結語】患者背景および血液検査結果から, IVIG抵抗例の予測が可能であることが示唆された. ステロイド初期投与はIVIG抵抗例であることが予測されるhigh risk群において, 予後を改善させる可能性が示唆された. |
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ISSN: | 1343-2826 |