131I標識抗CEAモノクローナル抗体の投与により診断しえた直腸癌局所再発の1例

画像診断に癌関連抗原に対するモノクローナル抗体を用いることは, 特異的な抗原抗体反応を利用するため, 質的診断に有用と考えられる.大腸癌における癌関連抗原の中で, CEAがもっとも高い特異性を示すため, 精製CEAを免疫原として抗CEAモノクローナル抗体 (抗CEA102) を作製した.抗CEA102の認識する抗原の分布を, 免疫ペルオシキダーゼ法により検討したところ, 大腸正常粘膜では陰性であったのに対し, すべての大腸癌に陽性を示した.また胃癌の一部とも反応を示したが, 脳腫瘍, 悪性黒色腫などは陰性であった.今回直腸癌局所再発を疑わせる症例 (64歳女性) の確定診断を得るために, 13...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 42; no. 7; pp. 1272 - 1277
Main Authors 渡辺, 正, 村山, 浩基, 和田, 喜美夫, 伊藤, 勝基, 桐山, 幸三, 高木, 弘, 田所, 匡典, 青山, 裕一, 佐久間, 貞行, 坂本, 純一
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本大腸肛門病学会 01.11.1989
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Summary:画像診断に癌関連抗原に対するモノクローナル抗体を用いることは, 特異的な抗原抗体反応を利用するため, 質的診断に有用と考えられる.大腸癌における癌関連抗原の中で, CEAがもっとも高い特異性を示すため, 精製CEAを免疫原として抗CEAモノクローナル抗体 (抗CEA102) を作製した.抗CEA102の認識する抗原の分布を, 免疫ペルオシキダーゼ法により検討したところ, 大腸正常粘膜では陰性であったのに対し, すべての大腸癌に陽性を示した.また胃癌の一部とも反応を示したが, 脳腫瘍, 悪性黒色腫などは陰性であった.今回直腸癌局所再発を疑わせる症例 (64歳女性) の確定診断を得るために, 131Iにて標識した抗CEA102を投与し, scintigraphyにて画像診断を試みた.その結果膀胱左上部に抗体の集積が認められ, 局所再発の診断が可能となった.したがって標識抗体を用いる本法は, 質的診断に有用であると考えられる.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.42.1272