消散性肛門直腸痛(Proctalgia Fugax) とくにその成因の解明について

消散性肛門直腸痛は,発作性に起こり,かつ消褪する痛みで,発作が治まるとまったくその痕跡を留めないとされ,この点で他の器質的疾患と大いに趣きを異にしている。その原因についてはさまざまの仮説があるが,いずれも推定の域を脱せず,現在まで原因不明の疾患とされている,われわれは過去32例の当疾患を経験したが,いずれの症例においても骨盤後面,特に仙骨,尾骨,肛門挙筋などに限局性の圧痛点が認められ,われわれはこれがいわゆる疼痛のtrigger pointであると判断した。この部分に診断と治療を兼ねたブロックを行うことによって,ほとんどの症例で症状は軽快,消褪した。以上のことより,当疾患の原因解明に大きなアプ...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 40; no. 4; pp. 380 - 385
Main Authors 高野, 正博, 松田, 正和, 松田, 保秀
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本大腸肛門病学会 01.07.1987
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.40.380

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Summary:消散性肛門直腸痛は,発作性に起こり,かつ消褪する痛みで,発作が治まるとまったくその痕跡を留めないとされ,この点で他の器質的疾患と大いに趣きを異にしている。その原因についてはさまざまの仮説があるが,いずれも推定の域を脱せず,現在まで原因不明の疾患とされている,われわれは過去32例の当疾患を経験したが,いずれの症例においても骨盤後面,特に仙骨,尾骨,肛門挙筋などに限局性の圧痛点が認められ,われわれはこれがいわゆる疼痛のtrigger pointであると判断した。この部分に診断と治療を兼ねたブロックを行うことによって,ほとんどの症例で症状は軽快,消褪した。以上のことより,当疾患の原因解明に大きなアプローチを得たと思われるので報告する。
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.40.380