クロレラ従属栄養培養におけるpHシフトおよび撹拌速度のクロロフィル生合成に及ぼす影響

バイオマスとして工業生産に利用されているChlorella sp.を, 従属栄養条件下で培養した.培養中のpHは細胞が対数増殖を維持できる培養初期は6.0, それ以後を8.0にシフトするパターンがクロロフィル (CHL) 生産には最適であることが判明した.しかしながら, 撹拌速度600r.p.m.では, この最適pHシフトにおいても最大CHL含量は1.28W/W%でしかなかった.他方, 撹拌は300r.p.m.以下の低速度の方が最大CHL含量の増加には有効で, 撹拌速度250r.p.m.において3.10W/W%と600r.p.m.の場合の約2.4倍の最大CHL含量に到達した.この影響は, 培養...

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Published in化学工学論文集 Vol. 25; no. 2; pp. 214 - 219
Main Authors 舟橋, 均, 浅野, 真紀, 中尾, 勝實, 西山, 幸賞
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 化学工学会 10.03.1999
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ISSN0386-216X
1349-9203
DOI10.1252/kakoronbunshu.25.214

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Summary:バイオマスとして工業生産に利用されているChlorella sp.を, 従属栄養条件下で培養した.培養中のpHは細胞が対数増殖を維持できる培養初期は6.0, それ以後を8.0にシフトするパターンがクロロフィル (CHL) 生産には最適であることが判明した.しかしながら, 撹拌速度600r.p.m.では, この最適pHシフトにおいても最大CHL含量は1.28W/W%でしかなかった.他方, 撹拌は300r.p.m.以下の低速度の方が最大CHL含量の増加には有効で, 撹拌速度250r.p.m.において3.10W/W%と600r.p.m.の場合の約2.4倍の最大CHL含量に到達した.この影響は, 培養中期以後に酸素供給不足の期間が存在することに依存していることが示唆された.さらに, 撹拌速度を250r.p.m.とした場合, pHを6.0で一定に制御しても最大CHL含量は約3W/W%に到達したが, 培養中期のCHL比生産速度は0.54×10-3kg/ (kg dry cell・h) と最適pHシフトの場合の約70%であった.この結果より, pHシフトと撹拌速度の両者を加味することにより効率的なCHL生合成が可能になることが明らかになった.
ISSN:0386-216X
1349-9203
DOI:10.1252/kakoronbunshu.25.214