急性期病院における口腔健康管理に関する検討

近年,病院や施設において口腔ケアの重要性の認識が高まっているが,その有効な方法についての検討は少ない。無歯顎の入院患者や要介護者に対しては,ガーゼやスポンジブラシを用いた「口腔清拭」が行われており,粘膜ブラシを用いた「口腔清掃」は行われていないのが現状である。そこで今回,急性期病院における口腔衛生管理法の確立を目指して,無歯顎の入院患者を対象に口腔清拭から口腔清掃に変更してその効果を検討した。 対象者は,無歯顎の入院患者で入院後から看護師による口腔清拭を行っていた患者61名(男性14名,女性47名,64~102歳,平均年齢89.1±7.1歳)である。口腔清拭から口腔清掃へ変更した効果は,①細菌...

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Published inRonen Shika Igaku Vol. 33; no. 3; pp. 373 - 377
Main Authors 仲程 尚子, 武井 典子, Arakaki Satoko, 比嘉 良喬, 石井 孝典, Takada Koji, 深井 穫博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年歯科医学会 31.12.2018
Japanese Society of Gerodontology
Subjects
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ISSN0914-3866
1884-7323
DOI10.11259/jsg.33.373

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Summary:近年,病院や施設において口腔ケアの重要性の認識が高まっているが,その有効な方法についての検討は少ない。無歯顎の入院患者や要介護者に対しては,ガーゼやスポンジブラシを用いた「口腔清拭」が行われており,粘膜ブラシを用いた「口腔清掃」は行われていないのが現状である。そこで今回,急性期病院における口腔衛生管理法の確立を目指して,無歯顎の入院患者を対象に口腔清拭から口腔清掃に変更してその効果を検討した。 対象者は,無歯顎の入院患者で入院後から看護師による口腔清拭を行っていた患者61名(男性14名,女性47名,64~102歳,平均年齢89.1±7.1歳)である。口腔清拭から口腔清掃へ変更した効果は,①細菌カウンタによる細菌数,②シルメル試験紙による唾液湿潤度検査,③訪室した際の口唇閉鎖の有無により検討した。初回の評価は,病状が落ち着き,医師より歯科衛生士による検査などの介入の了解が得られた入院13.5±18.3日後に行った。その後,歯科衛生士が指導を行い,口腔清拭から粘膜ブラシを用いた口腔清掃に変更して2週間経過後に介入後の評価を行った。 その結果,①細菌カウンタによるレベル4以上の患者数が減少(p<0.01),②唾液湿潤度が改善(p<0.01),③口唇閉鎖の状態の改善傾向がみられた(NS)。今回の結果から,病状の安定後において看護師による粘膜ブラシを用いた口腔清掃が有効である可能性が示唆された。
ISSN:0914-3866
1884-7323
DOI:10.11259/jsg.33.373