看護師アンケート調査による患者の食事満足への課題
C21 看護師アンケート調査による患者の食事満足への課題 ~喫食率向上を目指して~ 鈴木美穂(すずきみほ) 奈良和幸・山梨梓・矢口美智子 諸星浩美・玉内登志雄 静岡厚生病院栄養科・看護部 意識調査・栄養管理・喫食率向上 〈緒言〉患者が食事に対して高い満足度を得ることで、喫食率は上がり治療効果が高まる。 そして、その食事の提供が栄養科の役割である。栄養科では患者アンケートや投書箱で意見を頂いたり、管理栄養士が病室を訪問して直接話を伺っているが一部の患者に限られ、全ての患者と直接話をすることは困難である。しかし、看護師は24時間患者の日常ケアを行っているため、患者の嗜好や食事の様子を最も把握してい...
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Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 57; p. 121 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
2008
一般社団法人 日本農村医学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.57.0.121.0 |
Cover
Abstract | C21 看護師アンケート調査による患者の食事満足への課題
~喫食率向上を目指して~
鈴木美穂(すずきみほ)
奈良和幸・山梨梓・矢口美智子
諸星浩美・玉内登志雄
静岡厚生病院栄養科・看護部
意識調査・栄養管理・喫食率向上
〈緒言〉患者が食事に対して高い満足度を得ることで、喫食率は上がり治療効果が高まる。
そして、その食事の提供が栄養科の役割である。栄養科では患者アンケートや投書箱で意見を頂いたり、管理栄養士が病室を訪問して直接話を伺っているが一部の患者に限られ、全ての患者と直接話をすることは困難である。しかし、看護師は24時間患者の日常ケアを行っているため、患者の嗜好や食事の様子を最も把握していると考える。そこで、看護師を対象に患者が病院食に求めていることや現在の食事への不満についてのアンケート調査を行い喫食率向上のための課題について検討した。
〈方法〉対象者:2008年4月現在静岡厚生病院に勤務している看護師148人(今年度新人、訪問看護ステーション、居宅介護支援所は除く)
調査期間:2008年4月4日~4月9日
調査方法:無記名の自記式質問紙調査法により、部署ごとに看護師に配布、回収した。
倫理的配慮:書面にて研究の趣旨等を説明し、調査の回答をもって承諾を得た。
〈結果〉回収率95.9%。20代53人37%、30代38人38%、40代35人25%、50代16人11%。当院経験年数は10年以内が72%。また他院経験者は47%と約半数を占めた。「患者が病院食に求める最も重要なこと」は献立40人、味付け39人、「重要なこと」では献立34人、味付け25人、食べ易さ24人。「当院の食事が患者の要求に合致しているか」では合致、やや合致が食事時間91%、献立75%、味つけ79%、適温98%、食べやすさ81%、見た目82%、安全性93%、治療効果93%。「患者の要求に近づくための取り組みで良いと思うもの」では聞き取りアンケート74%、管理栄養士のカンファレンス参加48%、情報紙配布63%、栄養科スタッフによる食事中のラウンド68%。「患者から食事についての不満を聞いたことがあるか」は有るが全体では73%、病棟のみでは88%。患者の不満の訴えは病棟看護師の9割近くが聞いており、味が薄いとの不満が50人、献立内容が40人であった。しかし不満の訴えの対応は、栄養科に伝える39%、栄養科に伝えず謝罪する36%であった。栄養科のクレーム対応については、良い71%。「喫食率を上げるための方法」は、患者の話を聴く40%、味の質を上げる27%。「看護師として栄養科に望むこと」は、栄養科職員がもっと病棟にきて患者と話をして欲しい40%、よりおいしい食事をだしてほしい28%であった。
(考察)患者が病院食に最も求めていると思われるものが献立の充実や味付けであったのに対し、要求への合致が最も低かったのが献立であった。一般食対象の患者アンケートでは概ね好評を得ていたことから治療食での不満が多いと推測される。治療上の制約が必要な患者に対し、栄養科からの十分な説明がないことも不満の一因と考えられる。また患者の不満の訴えは看護師サイドでの対応が多く栄養科での把握は十分ではなかったことから
も病棟訪問の重要性が認められた。
(結論)看護師へのアンケート調査をすることで患者アンケートだけでは得られない患者の不満を知ることができた。人の嗜好は千差万別であり、また病院食では治療上の制約もあることから全ての患者の満足を得る事は困難である。しかし、栄養科職員が直接患者と話し、納得をして食事をして頂くことが喫食率向上に最も重要なことであると考えられた。 |
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AbstractList | C21 看護師アンケート調査による患者の食事満足への課題
~喫食率向上を目指して~
鈴木美穂(すずきみほ)
奈良和幸・山梨梓・矢口美智子
諸星浩美・玉内登志雄
静岡厚生病院栄養科・看護部
意識調査・栄養管理・喫食率向上
〈緒言〉患者が食事に対して高い満足度を得ることで、喫食率は上がり治療効果が高まる。
そして、その食事の提供が栄養科の役割である。栄養科では患者アンケートや投書箱で意見を頂いたり、管理栄養士が病室を訪問して直接話を伺っているが一部の患者に限られ、全ての患者と直接話をすることは困難である。しかし、看護師は24時間患者の日常ケアを行っているため、患者の嗜好や食事の様子を最も把握していると考える。そこで、看護師を対象に患者が病院食に求めていることや現在の食事への不満についてのアンケート調査を行い喫食率向上のための課題について検討した。
〈方法〉対象者:2008年4月現在静岡厚生病院に勤務している看護師148人(今年度新人、訪問看護ステーション、居宅介護支援所は除く)
調査期間:2008年4月4日~4月9日
調査方法:無記名の自記式質問紙調査法により、部署ごとに看護師に配布、回収した。
倫理的配慮:書面にて研究の趣旨等を説明し、調査の回答をもって承諾を得た。
〈結果〉回収率95.9%。20代53人37%、30代38人38%、40代35人25%、50代16人11%。当院経験年数は10年以内が72%。また他院経験者は47%と約半数を占めた。「患者が病院食に求める最も重要なこと」は献立40人、味付け39人、「重要なこと」では献立34人、味付け25人、食べ易さ24人。「当院の食事が患者の要求に合致しているか」では合致、やや合致が食事時間91%、献立75%、味つけ79%、適温98%、食べやすさ81%、見た目82%、安全性93%、治療効果93%。「患者の要求に近づくための取り組みで良いと思うもの」では聞き取りアンケート74%、管理栄養士のカンファレンス参加48%、情報紙配布63%、栄養科スタッフによる食事中のラウンド68%。「患者から食事についての不満を聞いたことがあるか」は有るが全体では73%、病棟のみでは88%。患者の不満の訴えは病棟看護師の9割近くが聞いており、味が薄いとの不満が50人、献立内容が40人であった。しかし不満の訴えの対応は、栄養科に伝える39%、栄養科に伝えず謝罪する36%であった。栄養科のクレーム対応については、良い71%。「喫食率を上げるための方法」は、患者の話を聴く40%、味の質を上げる27%。「看護師として栄養科に望むこと」は、栄養科職員がもっと病棟にきて患者と話をして欲しい40%、よりおいしい食事をだしてほしい28%であった。
(考察)患者が病院食に最も求めていると思われるものが献立の充実や味付けであったのに対し、要求への合致が最も低かったのが献立であった。一般食対象の患者アンケートでは概ね好評を得ていたことから治療食での不満が多いと推測される。治療上の制約が必要な患者に対し、栄養科からの十分な説明がないことも不満の一因と考えられる。また患者の不満の訴えは看護師サイドでの対応が多く栄養科での把握は十分ではなかったことから
も病棟訪問の重要性が認められた。
(結論)看護師へのアンケート調査をすることで患者アンケートだけでは得られない患者の不満を知ることができた。人の嗜好は千差万別であり、また病院食では治療上の制約もあることから全ての患者の満足を得る事は困難である。しかし、栄養科職員が直接患者と話し、納得をして食事をして頂くことが喫食率向上に最も重要なことであると考えられた。 |
Author | 鈴木 美穂 諸星 浩美 山梨 梓 玉内 登志雄 矢口 美智子 奈良 和幸 |
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