Four Square Step Testの検者間信頼性

【はじめに】バランス能力は高齢者の日常生活活動における重要な評価項目のひとつである。臨床場面においてバランス能力の評価は、検査時間が短く省スペースで実施でき、かつ信頼性が高いことが求められる。そこで本研究では比較的新しいバランス能力の評価法であるFour Square Step Test(以下FSST)に着目した。FSSTの特長は多方向への重心移動を行うことで、日常生活に必要なバランス能力を評価できることにある。この評価法における検者内信頼性と妥当性についてはすでに報告されている。しかし、検者間の信頼性についてはまだ報告されていない。そこで今回我々はFSSTの検者間信頼性を求め、さらにその臨床...

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Published in関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 27; p. 7
Main Authors 伊藤 健志, 麻生 義行, 池上 直宏, 高野 直子, 市川 静香, 瀧 直也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会 2008
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ISSN0916-9946
2187-123X
DOI10.14901/ptkanbloc.27.0.7.0

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Summary:【はじめに】バランス能力は高齢者の日常生活活動における重要な評価項目のひとつである。臨床場面においてバランス能力の評価は、検査時間が短く省スペースで実施でき、かつ信頼性が高いことが求められる。そこで本研究では比較的新しいバランス能力の評価法であるFour Square Step Test(以下FSST)に着目した。FSSTの特長は多方向への重心移動を行うことで、日常生活に必要なバランス能力を評価できることにある。この評価法における検者内信頼性と妥当性についてはすでに報告されている。しかし、検者間の信頼性についてはまだ報告されていない。そこで今回我々はFSSTの検者間信頼性を求め、さらにその臨床的有用性に関して考察した。 【対象】本研究の目的に対して同意を得られた当院の患者で、自立歩行が可能な骨関節疾患患者18名(男性4名 女性14名)とした。平均年齢は74.9±6.1歳であった。 【方法】FSSTの測定方法は、Diteらが示した方法を参照した。直径2cm長さ90cmの塩ビ管4本で十字に分割した4区画を前後左右にまたぎながら移動し、往復する速度を測定した。このテストを2日間実施、検者は当院の理学療法士2名とした。合わせて動的バランス能力のテストとしてTime Up And Go Test(以下TUG)をPodsiadloらの方法をもとに実施し、さらに半田の方法に準じて10m歩行速度を測定した。統計学的解析には級内相関係数(以下 ICC)を用い、検者間信頼性を求めた。FSSTとTUG、10m歩行速度との相関についてはpearson係数を用いて解析し、有意水準は1%とした。 【結果と考察】検者間の信頼性については測定結果からICC(2,k)を求めた結果、r=0.87~0.90と高い値を示した。このことからFSSTはその測定値が検者に左右されないテストであることが示唆された。次に他のバランステストとの相関については、FSSTとTUGの間にはr=0.823で、p<0.01の有意な相関関係が認められた。これによりFSSTのバランステストとしての妥当性が示唆された。しかしFSSTと10m歩行速度の間にはr=0.345で有意な相関関係が認められなかった。これに関してはFSSTが10m歩行速度よりも遂行課題が多いという条件から、バランス能力以外の要素が含まれているために生じた結果ではないかと推察された。今後も検討を継続していくことで、FSSTの臨床的有用性についてさらなる追究をしていきたい。
ISSN:0916-9946
2187-123X
DOI:10.14901/ptkanbloc.27.0.7.0