保存期腎不全の外来指導の現状

<はじめに> 慢性腎不全と診断を受けた患者は、治療経過の長短はあるが、治療の先には透析導入を余儀なくされ、諦めと病気の予後の不安を抱えながら透析導入となることが多いが、生活管理の調節で保存期時期を延長させ、透析導入を遅らせることができることは明らかである。 しかし、患者・家族が治療法・自己管理の重要性を理解出来るまでの患者指導が出来ていない限り、自己管理は困難なものとなってしまう。そこで、保存期初期段階の患者および家族に、外来診療時に治療と自己管理の大切さについて面接と指導を計画的に開始した。その結果、患者及び家族への意識付けが出来、治療への意欲と自己管理力を育てることが出来たので...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 55; p. 393
Main Authors 飯村 早苗, 箕輪 明美, 飯島 佳代子, 大内 智之, 小田倉 巳年男, 小沼 啓恵, 岡里 清美, 植田 敦志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE 2006
一般社団法人 日本農村医学会
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.55.0.393.0

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Summary:<はじめに> 慢性腎不全と診断を受けた患者は、治療経過の長短はあるが、治療の先には透析導入を余儀なくされ、諦めと病気の予後の不安を抱えながら透析導入となることが多いが、生活管理の調節で保存期時期を延長させ、透析導入を遅らせることができることは明らかである。 しかし、患者・家族が治療法・自己管理の重要性を理解出来るまでの患者指導が出来ていない限り、自己管理は困難なものとなってしまう。そこで、保存期初期段階の患者および家族に、外来診療時に治療と自己管理の大切さについて面接と指導を計画的に開始した。その結果、患者及び家族への意識付けが出来、治療への意欲と自己管理力を育てることが出来たので、経過を報告する。<方法> 医師の指導のもと、Cre2から3mg/dlに達した患者、及びその家族に生活指導があること説明し、診察後に初回の面接を設定した。面接には、腎センター看護師が継続的に関るようにした。指導内容については患者・家族の理解度と個別性を考慮し丁寧に指導することが重要と考え、1回15から20分内で、3回を1クールとし、指導パンフレットを作成使用した。パンフレットの構成は、疾患・薬剤・食事・生活の4つの項目に分け、それぞれについて3段階に内容を高度化し理解しやすいようにまとめた。1回目で慢性腎不全について学び自分の腎機能がどの段階にあるのか理解する。2回目が腎臓の働きと食事・内服の自己管理の必要性について指導、3回目で4項目についてさらに細かく説明し、自己管理を続けることが予後に与える影響、末期腎不全時の治療について話をし、1クールの指導とした。また、初回面接時には、生活状況・病歴・家族構成などを把握するため情報収集をすると共に、治療に参加する意識をもたせるため『生活調査票』を渡し、自ら記載してもらうこととした。3回の指導の中で、管理栄養士からの食事指導の計画や、薬剤師の服薬指導も計画し、患者の必要としている内容、生活状況に合わせ個別的に計画を立てるようにした。<結果・考察> 腎不全の知識が少ないこと、高齢者が多いこと、地域性を考慮し、詰め込み指導をせず内容は段階ごとに到達目標を決め、患者の理解度にあわせてステップアップできるように3段階としたことで、無理なく学んでもらうことが出来たと考える。また、飲みにくいクレメジンを確実に内服してもらうためクレメジンの吸着力の実験をして視覚的に内服の必要性を感じてもらうことが出来た。挿絵を多く使い簡単な文章にするなど工夫をすることで、見やすい、わかりやすいと好評だった。 外来時の個別指導であるため一人の患者に長時間指導は出来ないが、3回に分けたことで疾患について理解しやすくなり、受け入れが難しく自己管理が出来にくい内容にも耳を傾け、意欲的に話を聴く時間を作ることが出来た。<まとめ> 外来での保存期初期の個別的計画指導の有効性がわかった。指導の方法内容により自己管理への意欲が向上した。継続的指導により難解な自己管理を継続させる鍵となった。
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.55.0.393.0