生理食塩水による末梢静脈間欠的注入ロックの閉塞要因の検討
日本看護協会看護基準集に1)「末梢静脈に抗生物質などを間欠的に輸液する場合、毎回翼状針や点滴セットの針を用いて穿刺する方法(抜き刺し)は、穿刺のたびに患者に苦痛を与える上、金属針の使用による皮下組織への静脈液浸潤の危険があり、重篤な合併症を引き起こす危険があります。また、医療従事者の労働ばかりでなく針刺し事故による血中ウイルス感染の危険性も増し、近年大きな社会問題となっています。」と記載されている。当病棟では一時的に輸液ラインがはずれ、患者のADLが高まるなどの理由もふまえ、末梢静脈点滴ラインの開存維持の為に生理食塩水による間欠的注入ロック(以下生食ロックとする)を施行している。しかし生食ロッ...
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Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 54; p. 286 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
2005
一般社団法人 日本農村医学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.54.0.286.0 |
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Summary: | 日本看護協会看護基準集に1)「末梢静脈に抗生物質などを間欠的に輸液する場合、毎回翼状針や点滴セットの針を用いて穿刺する方法(抜き刺し)は、穿刺のたびに患者に苦痛を与える上、金属針の使用による皮下組織への静脈液浸潤の危険があり、重篤な合併症を引き起こす危険があります。また、医療従事者の労働ばかりでなく針刺し事故による血中ウイルス感染の危険性も増し、近年大きな社会問題となっています。」と記載されている。当病棟では一時的に輸液ラインがはずれ、患者のADLが高まるなどの理由もふまえ、末梢静脈点滴ラインの開存維持の為に生理食塩水による間欠的注入ロック(以下生食ロックとする)を施行している。しかし生食ロック後数時間経過し次の点滴を行う際には、3人に1人の割合で点滴ラインが閉塞しており再度穿刺することが多くみられた。閉塞要因として留置針が細いほどルート内の血液が容易に凝固し閉塞しやすいのではないか、ADLが拡大しているほど動作時の怒積によりルート内に血液の逆流が起こり閉塞しやすいのではないか、生食ロックしている時間が長いほどルート内の血液が凝固し閉塞しやすいのではないかと考えた。 今回点滴ラインの閉塞と閉塞要因の関連性について比較検討した結果、留置針の太さと閉塞とは関連があり18ゲージほど閉塞率が低い、ADLと閉塞との関連はない、生食ロックしている時間が長いほど閉塞率が高い傾向にあることが明らかになった。閉塞と留置針の太さは関係があることから、生食ロックをする場合は可能な限り太い針で穿刺したほうがよい。しかし対象患者への苦痛から、生食ロックの利点を説明するなど情報提供したうえで、患者とともに考えていく必要がある。ADLについてはシュアプラグ延長チューブで陰圧ロックしてあれば体動による管内への血液の逆流が増すことはないと考える。生食ロックしている時間については閉塞率の高い24ゲージで24時間以上生食ロックをする場合において、次回点滴までの間に定期的に生食フラッシュを行った方が、閉塞率が低くなると予測する。今回の調査前に閉塞が多かった理由は、看護師間で陰圧生食ロックの手技が統一されていなかった為、陰圧で生食ロックが出来ず血液の逆流によりカテーテル内の血液が凝固し、閉塞していたと思われる。新しい処置を導入した際には、看護師間の十分な情報伝達やマニュアル作成による手技の統一も重要であると考える。 今回の検討を経て当病棟における生食ロックの閉塞の要因が明らかになった。今後はこの研究を生かし末消点滴の開存維持について、患者の安全性、ADLを考慮したうえで適切な留置方法を行なっていきたい。 |
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ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.54.0.286.0 |