グルカゴノーマを伴わない壊死性遊走性紅斑

• Published in: 皮膚 Vol. 25; no. 5; pp. 842 - 848
• Main Authors: 坂田, 美緒子, 川津, 智是
• Format: Journal Article
• Language: English; Japanese
• Published: 日本皮膚科学会大阪地方会 01.10.1983
• ISSN: 0018-1390; 1884-541X
• DOI: 10.11340/skinresearch1959.25.842

重症の糖尿病, 高血圧症と大酒癖のある47才男性にみられた壊死性遊走性紅斑様皮疹を報告した。 皮疹は全経過1年8カ月間に4回, 主として下半身に生じ, 1～2週間で消退した。このほか脱毛, 爪甲の変化, 舌の発赤・萎縮や, 高度の栄養障害があり, 血清たん白, アルブミン, コレステロール値は皮疹発症時に低下する傾向がみとめられた。血清グルカゴン値は正常で, 生前および剖検時に膵腫瘍はなく, グルカゴノーマを伴わない壊死性遊走性紅斑と診断した。 種々の栄養障害患者にみられる本症例に類似した皮疹につき考察を加えた。