カルボン酸類による非水滴定の研究 N,N-dimethylformamide 中のルイス酸の電導度滴定

非水溶媒N,N-dimethylformamide(DMF)中において,五塩化アンチモンがEDTAにより電導度滴定のできることは既報したが,同様にDMF中で付加イオン種を形成すると考えられる四塩化ゲルマニウム,塩化スズ(IV),塩化チタン(IV),三塩化ヒ素,塩化鉛,塩化ジルコニウム,塩化コバルトなどについて,EDTA,NTAなどのアミノポリカルボン酸類,および脂肪族,芳香族のカルボン酸を用いて電導度滴定により定量の可能性を検討した.また他の有機溶媒の影響,溶媒抽出後の滴定の可否,および金属とDMFの錯体,EDTA,NTA錯体についてあわせて検討した結果,DMF中でのルイス酸は,陽イオン種を形...

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Published in分析化学 Vol. 20; no. 1; pp. 3 - 7
Main Authors 吉村, 長蔵, 田村, 邦彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.01.1971
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.20.3

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Summary:非水溶媒N,N-dimethylformamide(DMF)中において,五塩化アンチモンがEDTAにより電導度滴定のできることは既報したが,同様にDMF中で付加イオン種を形成すると考えられる四塩化ゲルマニウム,塩化スズ(IV),塩化チタン(IV),三塩化ヒ素,塩化鉛,塩化ジルコニウム,塩化コバルトなどについて,EDTA,NTAなどのアミノポリカルボン酸類,および脂肪族,芳香族のカルボン酸を用いて電導度滴定により定量の可能性を検討した.また他の有機溶媒の影響,溶媒抽出後の滴定の可否,および金属とDMFの錯体,EDTA,NTA錯体についてあわせて検討した結果,DMF中でのルイス酸は,陽イオン種を形成し,カルボン酸類との初期の反応は,酸-塩基の中和反応であると推定した.また塩化アンチモン(V),四塩化ゲルマニウムとDMFとの錯体は,分析結果より,SbCl5-DMF,GeCl3-DMFと推定した.また滴定に際して,他の有機溶媒の影響はみられず,多量の水分の存在は変曲点を不明確にするが,20%以下の水分であれば滴定に支障なく,溶媒抽出後の電導度滴定も,多量のDMFを添加することにより定量できる見通しがついた.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.20.3