CAPD施行中に結核性腹膜炎および腹壁膿瘍を発症した小児例

CAPD施行中, 初感染結核から結核性腹膜炎および腹壁膿瘍を発症し, HDに移行した8歳小児例を経験した. BCG歴があり, 結核の家族歴はなく感染源は不明であった. 排液塗沫陰性, 培養陽性で, 確定診断まで腹膜炎発症後約10週を要した. 抗結核薬による治療開始後も発熱は持続し, 腹膜炎発症約6か月後に臍部からの排膿があり, 腹壁膿瘍を発見された. 腹膜炎時のカテーテル入れ替え手術の関与が考えられた. 結核性のCAPD腹膜炎の報告は成人においても稀であり, また, 腹壁膿瘍合併の報告は見当たらない. CAPD中の結核性腹膜炎では確定診断まで長時間を要する場合が多いことから, 原因菌不明の難治...

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Published in日本透析療法学会雑誌 Vol. 26; no. 10; pp. 1639 - 1643
Main Authors 門脇, 純一, 星井, 桜子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本透析医学会 28.10.1993
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ISSN0911-5889
1884-6211
DOI10.4009/jsdt1985.26.1639

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Summary:CAPD施行中, 初感染結核から結核性腹膜炎および腹壁膿瘍を発症し, HDに移行した8歳小児例を経験した. BCG歴があり, 結核の家族歴はなく感染源は不明であった. 排液塗沫陰性, 培養陽性で, 確定診断まで腹膜炎発症後約10週を要した. 抗結核薬による治療開始後も発熱は持続し, 腹膜炎発症約6か月後に臍部からの排膿があり, 腹壁膿瘍を発見された. 腹膜炎時のカテーテル入れ替え手術の関与が考えられた. 結核性のCAPD腹膜炎の報告は成人においても稀であり, また, 腹壁膿瘍合併の報告は見当たらない. CAPD中の結核性腹膜炎では確定診断まで長時間を要する場合が多いことから, 原因菌不明の難治性腹膜炎時には結核を念頭においた治療的診断を考慮すべきである. また, 腹膜炎時のカテーテル入れ替え手術では腹壁膿瘍を合併する危険性があり適応には注意が必要である.
ISSN:0911-5889
1884-6211
DOI:10.4009/jsdt1985.26.1639