渇き感覚と口腔乾燥・唾液分泌との関連

本研究ではラットおよびヒトを対象として, 口渇と唾液分泌の関連について検討を行った. ラットを用いた実験にて催唾剤であるムスカリン作動薬のピロカルピンとセビメリンの腹腔内と脳室内投与により飲水量は増加した. ピロカルピンについての検討では唾液分泌も促進した. 口渇中枢の脳弓下器官ニューロンはムスカリン刺激によりM3受容体を介して興奮した. ムスカリンと同じくアセチルコリン受容体を刺激するニコチンの脳室内刺激では口渇感は誘発されなかったが, 脳弓下器官にc-fosが発現し主にα4β2サブタイプ受容体を介していた. 一方, ヒトを対象に行った実験では喫煙後の蛋白分泌とアミラーゼ活性は擬似喫煙後より...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 58; no. 4; pp. 143 - 144
Main Authors 小野堅太郎, 中村太志, 佐藤奈緒, 井上弘子, 増田渉, 田中達朗, 森本泰宏, 本田栄子, 横田誠, 稲永清敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 25.08.2004
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ISSN0368-6833

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Summary:本研究ではラットおよびヒトを対象として, 口渇と唾液分泌の関連について検討を行った. ラットを用いた実験にて催唾剤であるムスカリン作動薬のピロカルピンとセビメリンの腹腔内と脳室内投与により飲水量は増加した. ピロカルピンについての検討では唾液分泌も促進した. 口渇中枢の脳弓下器官ニューロンはムスカリン刺激によりM3受容体を介して興奮した. ムスカリンと同じくアセチルコリン受容体を刺激するニコチンの脳室内刺激では口渇感は誘発されなかったが, 脳弓下器官にc-fosが発現し主にα4β2サブタイプ受容体を介していた. 一方, ヒトを対象に行った実験では喫煙後の蛋白分泌とアミラーゼ活性は擬似喫煙後より優位に増加していた. よって, ムスカリン刺激は脳弓下器官を介して口渇感と唾液分泌を誘発し, ニコチン刺激では口渇感は誘発せず唾液蛋白分泌が増加する可能性が示唆された.
ISSN:0368-6833