耳鼻咽喉科診療における感染対策 耳鼻咽喉科内視鏡の洗浄・消毒
感染対策の基礎となる洗浄・消毒・滅菌は求められる状況・用途に応じて明確に区別し, 使い分けることが大切である. 1974年にGreeneらにより米国における消化器内視鏡を介した感染事故が初めて報告され, わが国では, 1980年代に日本消化器内視鏡学会消毒委員会より内視鏡を介したB型肝炎ウイルスの感染の実態や内視鏡検査被検者のB型肝炎ウイルス感染が確認され, グルタラールによる検査毎の消毒が感染防止に有用であることが報告された. 厚生労働省は2007年3月, 2014年12月, 2015年3月のそれぞれの通知・通達において, 内視鏡の洗浄・消毒に関しては特段の注意を払い, 関連学会等の策定する...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 122; no. 11; pp. 1392 - 1397 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本耳鼻咽喉科学会
20.11.2019
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ISSN | 0030-6622 |
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Summary: | 感染対策の基礎となる洗浄・消毒・滅菌は求められる状況・用途に応じて明確に区別し, 使い分けることが大切である. 1974年にGreeneらにより米国における消化器内視鏡を介した感染事故が初めて報告され, わが国では, 1980年代に日本消化器内視鏡学会消毒委員会より内視鏡を介したB型肝炎ウイルスの感染の実態や内視鏡検査被検者のB型肝炎ウイルス感染が確認され, グルタラールによる検査毎の消毒が感染防止に有用であることが報告された. 厚生労働省は2007年3月, 2014年12月, 2015年3月のそれぞれの通知・通達において, 内視鏡の洗浄・消毒に関しては特段の注意を払い, 関連学会等の策定するガイドラインおよび添付文書・取扱説明書等に記載される製造販売業者が定める方法を遵守することが重要であることを示した. これまでに開発・臨床導入された消化器科, 泌尿器科, 呼吸器科においては既に内視鏡感染制御のガイドラインあるいは手引き書が示され活用されており, 耳鼻咽喉科領域においても2016年に日本耳鼻咽喉科学会より"耳鼻咽喉科内視鏡の感染制御に関する手引き"が刊行されている. 本稿では国内外における内視鏡の感染制御に関する最新情報と厚生労働省からの通知・通達を解説するとともに, 内視鏡洗浄消毒にかかわる費用対効果についても言及し, さらに日本医療機能評価機構が行っている医療事故情報収集等事業報告のうち内視鏡の洗浄・消毒に関連した事例報告をレビューし, 耳鼻咽喉科内視鏡のヒヤリハット事例の詳細を述べた. また耳鼻咽喉科内視鏡の洗浄・消毒について概要を述べ, "耳鼻咽喉科内視鏡の感染制御に関する手引き"に準じた洗浄・消毒手順で内視鏡の清潔性が保たれることが確認されたのでそれらも含めて, 耳鼻咽喉科内視鏡消毒の実際の手順と注意点につき解説を行った. |
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ISSN: | 0030-6622 |