感冒薬で重症薬疹を発症することがあると聞きましたが, 本当ですか? (大阪府 : K.S.)
「回答(要約)」解熱鎮痛薬を主体とする感冒薬, その中でも安心とされているアセトアミノフェンでも, 重症薬疹を発症することはあります. 重症薬疹とは, 生命に危険を及ぼすような重症な薬疹の事で, 代表的なものに, スチーブンス・ジョンソン症候群(SJS: Stevens-Johnson syndrome), 中毒性表皮壊死症(TEN: toxic epidermal necrolysis)があります. SJS/TENは同一カテゴリーの疾患と考えられており, 発症頻度は, 年間100万人に数人と報告されています. このように, 大変稀な発症ではありますが, 感冒薬は誰もが内服するものであり, 皆...
Saved in:
Published in | 循環制御 Vol. 39; no. 1; pp. 48 - 56 |
---|---|
Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本循環制御医学会
01.05.2018
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0389-1844 |
Cover
Summary: | 「回答(要約)」解熱鎮痛薬を主体とする感冒薬, その中でも安心とされているアセトアミノフェンでも, 重症薬疹を発症することはあります. 重症薬疹とは, 生命に危険を及ぼすような重症な薬疹の事で, 代表的なものに, スチーブンス・ジョンソン症候群(SJS: Stevens-Johnson syndrome), 中毒性表皮壊死症(TEN: toxic epidermal necrolysis)があります. SJS/TENは同一カテゴリーの疾患と考えられており, 発症頻度は, 年間100万人に数人と報告されています. このように, 大変稀な発症ではありますが, 感冒薬は誰もが内服するものであり, 皆さんに発症の危険があるので, そのことを知っておいてほしいと思います. 厚労省の研究班の報告では, 解熱鎮痛消炎薬がSJS 14.6%, TEN 16.8%と抗菌薬に続いて二番目に多い被疑薬であり, 総合感冒薬(SJS 5.5%, TEN 7.2%)と統合すると, 感冒時に処方される感冒薬が最も多い被疑薬となります. 実際に, 我々が京都府立医科大学の眼科で診療している重篤な眼合併症を伴うSJS/TEN患者の約80%が, 感冒様症状に対して病院で処方, あるいは, 市販の感冒薬を内服後に発症しています. ただし, 同じ解熱鎮痛消炎薬でも感冒様症状以外(例えば, 腰痛, 慢性関節リウマチ等)に対する処方をきっかけに発症している患者は, ほとんどおられないので, 感冒薬に加えて感冒様症状のきっかけとなった何らかの微生物感染も誘因になっている可能性があると考えています. |
---|---|
ISSN: | 0389-1844 |