肺非結核性抗酸菌症に対する外科治療 : 現状と課題
要旨:感染症である肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)に対する治療は化学療法が基本であり, クラリスロマイシン(アジスロマイシン), リファンピシン, エタンブトールの3剤が標準治療薬とされ, 必要に応じてアミノグリコシドを加えるという多剤併用療法が推奨されている. しかし, 化学療法に抵抗性の症例も少なくなく, 病状のコントロールを目的とした外科治療が必要となる症例もある. これまでにも肺NTM症に対する外科治療に関しては様々な報告がなされており, 集学的治療の一環としての外科治療の有用性は明らかになったと考えられるが, 手術適応や切除範囲の選択, 手術前・後の化学療法の期間等, 解決されていな...
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Published in | 結核 Vol. 98; no. 6; pp. 207 - 214 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本結核・非結核性抗酸菌症学会
15.09.2023
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ISSN | 0022-9776 |
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Summary: | 要旨:感染症である肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)に対する治療は化学療法が基本であり, クラリスロマイシン(アジスロマイシン), リファンピシン, エタンブトールの3剤が標準治療薬とされ, 必要に応じてアミノグリコシドを加えるという多剤併用療法が推奨されている. しかし, 化学療法に抵抗性の症例も少なくなく, 病状のコントロールを目的とした外科治療が必要となる症例もある. これまでにも肺NTM症に対する外科治療に関しては様々な報告がなされており, 集学的治療の一環としての外科治療の有用性は明らかになったと考えられるが, 手術適応や切除範囲の選択, 手術前・後の化学療法の期間等, 解決されていない問題もある. 一方, 感染症疾患の特徴として, 病変が一葉にとどまらず複数葉に拡散し拡大切除が必要となる症例もあるが, 低侵襲の手術(胸腔鏡下手術)で施行できる症例も少なくない. 今後, 肺NTM症に対する外科治療の適応基準を明確かつ簡略化して周知するとともに, 手術適応があると考えられる症例には病変が拡がる前に外科治療の介入が重要である. |
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ISSN: | 0022-9776 |