マウス熱傷モデルの肝臓における遺伝子発現に関する研究
(目的)手術侵襲, 炎症, 感染等のストレスは臓器を直接, 間接的に障害し, また生体防御機構発現の引き金となる. 熱傷は臓器に対するもっとも重要なストレスの一つである. また, 肝臓は, 外傷後の炎症反応に対して重要な役割を果たす臓器である. しかしながら熱傷後肝臓が果たしている詳細な役割は今だ明らかでない. c-Jnn, NFkB, STAT3, IL-6は細胞に危機的なストレスが作用した時に誘導されるシグナルである. 今回, 我々はマウスの熱傷モデルを用いて熱傷後の肝臓におけるこれらのシグナルの経時的変化を調べたので報告する. (方法)雄のBALB/c miceを無作為に選別し, コント...
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Published in | 蘇生 Vol. 20; no. 3; p. 260 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本蘇生学会
12.09.2001
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ISSN | 0288-4348 |
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Summary: | (目的)手術侵襲, 炎症, 感染等のストレスは臓器を直接, 間接的に障害し, また生体防御機構発現の引き金となる. 熱傷は臓器に対するもっとも重要なストレスの一つである. また, 肝臓は, 外傷後の炎症反応に対して重要な役割を果たす臓器である. しかしながら熱傷後肝臓が果たしている詳細な役割は今だ明らかでない. c-Jnn, NFkB, STAT3, IL-6は細胞に危機的なストレスが作用した時に誘導されるシグナルである. 今回, 我々はマウスの熱傷モデルを用いて熱傷後の肝臓におけるこれらのシグナルの経時的変化を調べたので報告する. (方法)雄のBALB/c miceを無作為に選別し, コントロール群, 25%全身熱傷群, 40%全身熱傷群の3群に群分けを行った. 各群のmiceを熱傷後, 15分, 30分, 1時間, 2時間, 4時間, 8時間, 12時間, 24時間, 48時間後に麻酔下で屠殺し血液採取し並びに肝臓を摘出した. 摘出された肝臓よりmRNA及びタンパクを抽出しノーザンブロット, シフトアッセイ, ウエスタンプロット, エライザ法を用いて上記のシグナルを測定した. (結果)両熱傷群においてc-Jun, NFkBの両シグナルは熱傷後15分後から上昇が見られ, 30分後にピークが認められ, IL-6では4時間から8時間において大きな上昇が認められ, STAT3は48時間後にピークが認められた. (結語)熱傷の大きさに関わりなく25%全身熱傷群, 40%全身熱傷群において非常に早期から危機的なシグナルが発現された. このことにより細胞内では受傷直後から生体防御反応が起っていることが確認された. 今後臨床治療を行うにあたり, これらのシグナルの経路解明が早期治療に役立つものと考える. |
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ISSN: | 0288-4348 |