ウサギ抗原誘発関節炎におけるTNF-αとIL-8の検討

TNF-αならびにIL-8は, ともに炎症性変化に深く関わる重要なサイトカインである. 私たちはウサギの抗原誘発顎関節炎におけるTNF-αとIL-8について免疫組織化学的検討を行った. 結果ならびに考察:TNF-αは関節炎誘発直後から浸潤炎症細胞, 滑膜細胞, 滑膜下線維芽細胞, 下顎頭軟骨細胞で産生されていた. 1週目で一旦産生が減弱し, 3週目で再度産生が著明となる二相性を示した. これは過去に私たちが行ったIL-1βの所見と一致するもので, 本モデルが急性関節炎と慢性関節炎の特徴を持つことを示唆するものであった. また, 慢性期に集簇形成する下顎頭軟骨細胞でTNF-αの産生が著明であった...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 56; no. 4; p. 175
Main Authors 助臺美帆, 冨永和宏, 土生学, 福田仁一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 25.08.2002
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ISSN0368-6833

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Summary:TNF-αならびにIL-8は, ともに炎症性変化に深く関わる重要なサイトカインである. 私たちはウサギの抗原誘発顎関節炎におけるTNF-αとIL-8について免疫組織化学的検討を行った. 結果ならびに考察:TNF-αは関節炎誘発直後から浸潤炎症細胞, 滑膜細胞, 滑膜下線維芽細胞, 下顎頭軟骨細胞で産生されていた. 1週目で一旦産生が減弱し, 3週目で再度産生が著明となる二相性を示した. これは過去に私たちが行ったIL-1βの所見と一致するもので, 本モデルが急性関節炎と慢性関節炎の特徴を持つことを示唆するものであった. また, 慢性期に集簇形成する下顎頭軟骨細胞でTNF-αの産生が著明であったことから, TNF-αは軟骨破壊に深く関与している可能性が窺われた. IL-8は関節炎誘発3日目までは浸潤炎症細胞を中心に産生されていたが, それ以降の産生は認められなかった. この結果から, IL-8は急性期の病態形成にのみ関与することが示唆された.
ISSN:0368-6833