人工肺圧上昇を伴わない酸素加不良により人工肺交換に至った一例

「要旨」人工肺圧上昇を伴わない酸素加不良による人工肺交換に至った症例を経験した. 患者は40歳代後半男性, 体表面積(body surface area:BSA)2.05m2, 術式は上行弓部大動脈置換術+オープンステントグラフトであった. 体外循環開始5時間20分後に人工肺に酸素加不良を認め, 酸素フラッシュを行い改善した. 15分後再び酸素加不良を認め, 再度酸素フラッシュ行うも改善せず人工肺交換に至った. 人工肺交換後は酸素加問題なく体外循環終了となった. 酸素加不良はプラズマリークと結露が絡み合って起きており, 両方の対策が必須である. プラズマリークに関しては膜の材料を考慮し選択する...

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Published in体外循環技術 Vol. 47; no. 4; pp. 340 - 344
Main Authors 最明裕介, 八木健太, 奥山浩幸, 森啓太, 奥野渉, 玉岡弘充, 井口亮介, 北村拡, 村上理彦, 徳井俊也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.12.2020
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Summary:「要旨」人工肺圧上昇を伴わない酸素加不良による人工肺交換に至った症例を経験した. 患者は40歳代後半男性, 体表面積(body surface area:BSA)2.05m2, 術式は上行弓部大動脈置換術+オープンステントグラフトであった. 体外循環開始5時間20分後に人工肺に酸素加不良を認め, 酸素フラッシュを行い改善した. 15分後再び酸素加不良を認め, 再度酸素フラッシュ行うも改善せず人工肺交換に至った. 人工肺交換後は酸素加問題なく体外循環終了となった. 酸素加不良はプラズマリークと結露が絡み合って起きており, 両方の対策が必須である. プラズマリークに関しては膜の材料を考慮し選択する必要があり, 結露に関してはガス層圧のモニタリングにて察知でき, 適切な酸素フラッシュにより排出できる可能性も報告されている. 更に酸素加不良は患者の体格, 血流量の増減に関連していた. 不可逆性の酸素加不良で人工肺交換を行う場合でも人工肺バイパスラインやemergency kitを準備し, 十分なシミュレーションを行うことで安全に対応することができた. 本症例の酸素加不良の原因は特定できなかったが原因になりえる要因や対策を考察し報告した.
ISSN:0912-2664