気管支動脈瘤と鑑別が困難な気道出血の1例

67歳, 男性. 昭和62年に, 大量の喀血を来たし, 気管支鏡を含めた精査をうけるも出血原因は特定できなかった. 本年1月31日より続く, 少量の血痰を主訴に来院. CTでは右B^1 aに淡い浸潤陰影を伴う1cm程度の小腫瘤を認めた. 肺癌を疑い, 気管支鏡を実施したところ, 右B^1 より出血を認め, 結節状の腫瘤が咳嗽とともに突出を繰り返しており, 出血を伴う気管支動脈瘤と判断した. 気管支動脈造影では直径1cm程度の造影剤の貯留を認めた. 血痰が続き, 大量喀血の恐れがあったため, 右上葉切除を行った. 肉眼所見ではB^1 aは嚢状に拡張し表面滑沢な腫瘤を入れ, 末梢気管支は粘液栓によ...

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Published in気管支学 Vol. 18; no. 2; pp. 199 - 200
Main Authors 福田泰樹, 福本敦子, 橋本重樹, 大上隆彦, 佐々木徳久, 北野勝也, 藤田一彦, 鈴木ユリ, 閔庚, 大澤仲昭, 浦野透, 清水雅史, 立花秀一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.03.1996
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ISSN0287-2137

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Summary:67歳, 男性. 昭和62年に, 大量の喀血を来たし, 気管支鏡を含めた精査をうけるも出血原因は特定できなかった. 本年1月31日より続く, 少量の血痰を主訴に来院. CTでは右B^1 aに淡い浸潤陰影を伴う1cm程度の小腫瘤を認めた. 肺癌を疑い, 気管支鏡を実施したところ, 右B^1 より出血を認め, 結節状の腫瘤が咳嗽とともに突出を繰り返しており, 出血を伴う気管支動脈瘤と判断した. 気管支動脈造影では直径1cm程度の造影剤の貯留を認めた. 血痰が続き, 大量喀血の恐れがあったため, 右上葉切除を行った. 肉眼所見ではB^1 aは嚢状に拡張し表面滑沢な腫瘤を入れ, 末梢気管支は粘液栓により閉塞していた. 組織学的には腫瘤は凝血塊からなり, 周囲気管支壁内に拡張した気管支動脈を認めたが, 明らかな出血巣や動脈瘤は認めなかった. 気管支出血の特異な一形態と考えられた.
ISSN:0287-2137