久留米大学病院における直接クームス試験陽性率とその解析

• Published in: 日本輸血学会雑誌 Vol. 47; no. 2; p. 281
• Main Authors: 江頭弘一, 相浦佳代子, 小川美津子, 川野洋之, 東谷孝徳, 吉本幸治, 佐川公矯
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 日本輸血学会 01.04.2001
• ISSN: 0546-1448

今回, 我々は当検査室に提出された検体について直接クームス試験（以下DAT）を実施し, その解析を行ったので報告する. 対象：検討期間は平成12年2月18日から同年7月31日まで111日間. 総検体数6630件, 重複を除いた検体数は4490件であった. 方法：全ての検体についてDATを実施し, 陽性検体について特異血清（抗IgG, 抗C3b・C3d）との反応, 更にエーテル解離試験による抗体の特異性を検査した. 結果：DAT陽性率は, 陽性40件中, 重複を除く32件で, 0.71%（32/4490）であった. 男女比率は男性21人（65.6%）, 女性11人（34.4%）で平均年齢±SDは60.3歳±232であった. 陽性検体の依頼科別は, 病棟25件, 外来2件, 救命救急5件で, 病棟の内訳は肝疾患6件, 心疾患4件, 血液疾患4件, 腎疾患3件, 肺疾患2件, その他5件であった. このうちDATの依頼があったのは2件であり, 内1例はRh不適合妊娠による新生児溶血性疾患患者であった. 特異血清による反応態度は, 広範囲クームス, 抗IgG, 抗C3b・C3d全て陽性；1件（3.1%）, 広範囲クームス, 抗IgGのみ陽性；28件（87.5%）, 広範囲クームスのみ陽性：3件（94%）であった. また, 解離試験が実施できた30件中, 解離液との反応陽性例は10件（33.3%）であり, 新生児溶血性疾患患者1名を除く全例において血液型特異性を見出せなかった. DAT陽性で, 間接クームス試験陽性が1件あり, その解離液も抗体活性を示したが, 血液型特異性を見出せなかった. なお, DAT陽性を示す患者に赤血球輸血を実施した例は16件で, 全例赤血球MAP製剤を使用したが, 輸血が原因と思われる明らかな溶血所見は見られなかった.