顎関節刺激による二種の開口反射応答に関する研究

「緒言」咀嚼筋活動は, 口腔領域の種々の感覚受容器からの神経情報により調節されている1). これらの調節機構の一つに, 三叉神経第二枝, 第三枝の支配領域の感覚受容器の興奮により, 開口筋が収縮する開口反射応答がある. この反射は, 四肢における屈曲反射に相当し, 歯髄刺激により容易に誘発されることから侵害受容性反射と考えられてきた2-7). しかし, 下歯槽神経に含まれる低閾値の神経線維の興奮がこの応答を誘発することから, 開口反射は侵害受容性反射以外の機能をも有すると考えられている8, 12). Kellarら13)は, クロラロース麻酔のネコを用いて眼窩下神経刺激を行ない, 歯槽刺激によ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 28; no. 5; pp. 605 - 619
Main Authors 稲井哲司, 鹿沼晶夫, 渡辺誠助
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 01.10.1986
Online AccessGet full text
ISSN0385-0137

Cover

More Information
Summary:「緒言」咀嚼筋活動は, 口腔領域の種々の感覚受容器からの神経情報により調節されている1). これらの調節機構の一つに, 三叉神経第二枝, 第三枝の支配領域の感覚受容器の興奮により, 開口筋が収縮する開口反射応答がある. この反射は, 四肢における屈曲反射に相当し, 歯髄刺激により容易に誘発されることから侵害受容性反射と考えられてきた2-7). しかし, 下歯槽神経に含まれる低閾値の神経線維の興奮がこの応答を誘発することから, 開口反射は侵害受容性反射以外の機能をも有すると考えられている8, 12). Kellarら13)は, クロラロース麻酔のネコを用いて眼窩下神経刺激を行ない, 歯槽刺激によるものとは異なる二峰性の開口反射応答を報告した. また, 宗形14), Watanabeら15)はクロラロースで麻酔し, ガラミンで非動化したネコの歯根膜を刺激し, 顎舌骨筋神経から二種の開口反射応答を記録した.
ISSN:0385-0137