陳旧性第四趾MP関節背側脱臼の治療経験

足趾におけるMP関節脱臼は比較的稀な外傷である. 我々は報告例のない陳旧性第四趾MP関節背側脱臼の治療を経験したので報告する. 症例 <患者>72歳女性主婦 <主訴>左第四趾の疼痛及び腫脹 <既往歴>慢性関節リウマチなどの慢性関節炎所見はない. <現病歴>平成7年3月中旬, 歩行中つまずいて左足趾部痛及び腫脹が生じたが, そのまま放置されていた. 腫脹は軽減したが疼痛が残存したため, 平成7年7月17日当科を初診した. <初診時所見>左第四趾MP関節で背側部で軽度の腫脹が認められた. 単純レントゲン写真では, 第四趾MP関節で基節骨が...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 45; no. 4; pp. 1094 - 1096
Main Authors 近藤啓, 藤尾圭司, 山崎剛, 山中三知夫, 樫本龍喜
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.09.1996
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ISSN0037-1033

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Summary:足趾におけるMP関節脱臼は比較的稀な外傷である. 我々は報告例のない陳旧性第四趾MP関節背側脱臼の治療を経験したので報告する. 症例 <患者>72歳女性主婦 <主訴>左第四趾の疼痛及び腫脹 <既往歴>慢性関節リウマチなどの慢性関節炎所見はない. <現病歴>平成7年3月中旬, 歩行中つまずいて左足趾部痛及び腫脹が生じたが, そのまま放置されていた. 腫脹は軽減したが疼痛が残存したため, 平成7年7月17日当科を初診した. <初診時所見>左第四趾MP関節で背側部で軽度の腫脹が認められた. 単純レントゲン写真では, 第四趾MP関節で基節骨が背側に転位していたが, 骨には異常所見は認めなかった(図1-a). 整復するが不安定のため容易に脱臼した(図1-b). 以上より, 平成7年7月19日手術を施行した. <手術所見>腰椎麻酔下で容易に整復されるがすぐに脱臼位に戻った. 左第四趾MP関節背側を中心にS字状に皮切を加え展開した. 背側支帯, 外側側副靱帯は弛緩し, 関節包も背側が弛緩し菲薄化していた. 内側側副靱帯は消失し瘢痕組織に置き換わっていた. 関節内を展開すると関節軟骨は保たれており, plantarplateなどの嵌入はなかった. 滑膜に慢性炎症所見はなかった. 内側の底側骨間筋腱様部を用い長趾伸筋腱に6-0ループ針にて縫合し補強した. 弛緩していた外側側副靱帯と関節包をそれぞれ縫縮した. MP関節が安定したのでK-wireでMP関節固定を行った.
ISSN:0037-1033