金属ステント留置9ヵ月後に左主気管支形成術に至った外傷性気管支損傷の1例

症例は17歳, 男性. 単車で走行中転倒し受傷した. 近医にて左血気胸と診断され受傷3日後, 当院へ転送された. 来院時, 左気胸, 無気肺および縦隔気腫があり気管支鏡検査にて左主気管支の狭窄とsecond spurの軟骨損傷を認め, 気管支不全断裂と診断されたが, 気管支瘻と縦隔気腫の増大を認めないため, 保存的治療を選択した. しかし損傷部が呼吸性に狭窄するためExpandable Metallic Stent(以下EMS)を挿入し, 一時的に軽快退院した. しかし, EMS内への肉芽増生がみられ, 頻回の気管支鏡吸引およびYAGLaser焼灼を要し, 受傷9ヵ月後に気管支形成術を施行した...

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Published in気管支学 Vol. 19; no. 1; p. 81
Main Authors 三浦敦, 別府和重, 加藤真司, 伊達和彦, 近藤一男, 吉原正, 永田昌久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.01.1997
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ISSN0287-2137

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Summary:症例は17歳, 男性. 単車で走行中転倒し受傷した. 近医にて左血気胸と診断され受傷3日後, 当院へ転送された. 来院時, 左気胸, 無気肺および縦隔気腫があり気管支鏡検査にて左主気管支の狭窄とsecond spurの軟骨損傷を認め, 気管支不全断裂と診断されたが, 気管支瘻と縦隔気腫の増大を認めないため, 保存的治療を選択した. しかし損傷部が呼吸性に狭窄するためExpandable Metallic Stent(以下EMS)を挿入し, 一時的に軽快退院した. しかし, EMS内への肉芽増生がみられ, 頻回の気管支鏡吸引およびYAGLaser焼灼を要し, 受傷9ヵ月後に気管支形成術を施行した. この間の胸部CTでは左肺の透過性は亢進し, また肺動脈造影ではPAの狭小化がみられ, hypoxic vasoconstrictionと考えられた. 切除標本では, 狭窄部は結合織のみにより管腔が保持されていた. 外傷性気管支断裂の気管支鏡所見ならびにEMSの適応について検討した.
ISSN:0287-2137