新型コロナウイルス感染症流行前後における塗抹陽性肺結核患者の疫学的変化, 2019-2020
「要旨」 : 〔目的〕2020年に起こったCOVID-19流行前後で, 塗抹陽性初回治療肺結核患者, 特に高齢者の塗抹陽性肺結核患者における疫学的変化を明らかにする. 〔対象・方法〕協力の得られた10カ所の保健所の2019年1月~2020年12月の新登録喀痰塗抹陽性初回治療肺結核患者について比較した. 〔結果〕保健所管内別全結核罹患率の中央値は人口10万人対11.3, 範囲は5.5~19.7であった. 塗抹陽性初回治療肺結核患者数は, 2019年が249人, 2020年は234人であった. 全死亡, 結核死亡ともに2020年では2019年に比較して統計学的有意に上昇した. 65歳以上に絞って,...
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Published in | 結核 Vol. 98; no. 7; pp. 253 - 258 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本結核・非結核性抗酸菌症学会
15.11.2023
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ISSN | 0022-9776 |
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Summary: | 「要旨」 : 〔目的〕2020年に起こったCOVID-19流行前後で, 塗抹陽性初回治療肺結核患者, 特に高齢者の塗抹陽性肺結核患者における疫学的変化を明らかにする. 〔対象・方法〕協力の得られた10カ所の保健所の2019年1月~2020年12月の新登録喀痰塗抹陽性初回治療肺結核患者について比較した. 〔結果〕保健所管内別全結核罹患率の中央値は人口10万人対11.3, 範囲は5.5~19.7であった. 塗抹陽性初回治療肺結核患者数は, 2019年が249人, 2020年は234人であった. 全死亡, 結核死亡ともに2020年では2019年に比較して統計学的有意に上昇した. 65歳以上に絞って, 診断時の状況その他を2019年と2020年とで比較した結果, 結核死亡および要介護3以上において統計学的有意な上昇を認めた. 〔結論〕2020年は, 2019年と比較して, 全死亡および結核死亡の割合が上昇した理由として, 65歳以上の者ではCOVID-19にかかる緊急事態宣言発出などに伴う外出制限や, 医療機関受診控えなどによる要介護度の上昇した可能性が推測された. |
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ISSN: | 0022-9776 |