粟粒結核治療中に半月体形成性IgA腎症を発症した1例

要旨: 57歳男性. 1カ月続く食欲不振・倦怠感を契機に粟粒結核と診断された. イソニアジド・リファンピシン・エタンブトールによる治療が開始された. 治療開始5週間後から急激に腎機能が低下したため, 透析が緊急導入された. 腎生検を行い, 半月体形成性IgA腎症と診断した. ステロイドによる治療を行ったが, 腎機能の改善はみられず透析の離脱は困難であった. 抗結核薬の治療後に急激な腎機能低下を認めた場合, 腎生検を行うことでリファンピシンによる薬剤性腎障害の除外診断ができ, 標準治療が継続できる可能性がある. また結核感染が合併している場合, 半月体形成性IgA腎症に対する免疫抑制について標準...

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Published in結核 Vol. 97; no. 2; pp. 61 - 66
Main Authors 矢野光一, 村田研吾, 宮腰純, 北園美弥子, 和田曉彦, 羽田学, 高森幹雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 15.03.2022
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ISSN0022-9776

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Summary:要旨: 57歳男性. 1カ月続く食欲不振・倦怠感を契機に粟粒結核と診断された. イソニアジド・リファンピシン・エタンブトールによる治療が開始された. 治療開始5週間後から急激に腎機能が低下したため, 透析が緊急導入された. 腎生検を行い, 半月体形成性IgA腎症と診断した. ステロイドによる治療を行ったが, 腎機能の改善はみられず透析の離脱は困難であった. 抗結核薬の治療後に急激な腎機能低下を認めた場合, 腎生検を行うことでリファンピシンによる薬剤性腎障害の除外診断ができ, 標準治療が継続できる可能性がある. また結核感染が合併している場合, 半月体形成性IgA腎症に対する免疫抑制について標準治療は不明であり, 症例の蓄積が必要である.
ISSN:0022-9776