同種造血幹細胞移植時に合併した深在性真菌症にmicafunginの投与が有用であった2小児例

「要旨」小児急性リンパ性白血病 (ALL) 症例に対する同種造血幹細胞移植時の好中球減少, 免疫抑制剤の使用といった免疫抑制状態での各種抗真菌薬不応性の深在性真菌症に対し, micafungin (MCFG) が有効であった2症例を経験した. 症例はそれぞれ起因菌不明の真菌性肝脾膿瘍と肺アスペルギルス菌球症の4歳と9歳の女児. ともにamphotericin-B (AMPH-B) の効果が不十分であり, またそれによる腎機能低下のためMCFGに変更したところ, 発熱および画像所見の改善, CRP, β-Dグルカン値の陰性化が認められた. 小児においてもMCFGは造血幹細胞移植時の免疫抑制状態の...

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Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 20; no. 1; pp. 45 - 50
Main Authors 甲斐昌彦, 楠木重範, 岡田恵子, 金智裕, 時政定雄, 藤崎弘之, 橋井佳子, 原純一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児血液学会 28.02.2006
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ISSN0913-8706

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Summary:「要旨」小児急性リンパ性白血病 (ALL) 症例に対する同種造血幹細胞移植時の好中球減少, 免疫抑制剤の使用といった免疫抑制状態での各種抗真菌薬不応性の深在性真菌症に対し, micafungin (MCFG) が有効であった2症例を経験した. 症例はそれぞれ起因菌不明の真菌性肝脾膿瘍と肺アスペルギルス菌球症の4歳と9歳の女児. ともにamphotericin-B (AMPH-B) の効果が不十分であり, またそれによる腎機能低下のためMCFGに変更したところ, 発熱および画像所見の改善, CRP, β-Dグルカン値の陰性化が認められた. 小児においてもMCFGは造血幹細胞移植時の免疫抑制状態のにおけるAMPH-B抵抗性の深在性真菌症に対し, 有効かつ安全であることが示唆された. 「I. はじめに」造血器悪性腫瘍では, 再発例などの難治例に対する造血幹細胞移植は根治的治療であるが, そのような例では移植前の強力な化学療法により重症感染症を合併した状態での造血幹細胞移植を余儀なくされることがある.
ISSN:0913-8706