地域活動体験を経た歯科衛生士の業務進展
診療所, 病院, 在宅で勤務する歯科衛生士グループ, フリージアの会は地域歯科保健活動を体験するために, 刷掃により歯周病の改善を体験した東和町主婦の自主学習組織, ミッキーマウスの会と役場歯科衛生士の共同した地域活動に参画した. 平成14年度のミッキーマウスの会は地域活動98回, 住民1,959名に刷掃援助する実績をもっている. フリージアの会は地域活動を目標に, 平成11~14年度まで学習会4回開催, 打合せ会23回, 活動に加わってくれた住民は130名であった. これらの学習から, 歯科衛生士の会員は継続的に刷掃援助することで口腔が改善することに確信をもち, この体験から診療所, 市町村...
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Published in | 口腔衛生学会雑誌 Vol. 54; no. 2; p. 157 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本口腔衛生学会
30.04.2004
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ISSN | 0023-2831 |
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Summary: | 診療所, 病院, 在宅で勤務する歯科衛生士グループ, フリージアの会は地域歯科保健活動を体験するために, 刷掃により歯周病の改善を体験した東和町主婦の自主学習組織, ミッキーマウスの会と役場歯科衛生士の共同した地域活動に参画した. 平成14年度のミッキーマウスの会は地域活動98回, 住民1,959名に刷掃援助する実績をもっている. フリージアの会は地域活動を目標に, 平成11~14年度まで学習会4回開催, 打合せ会23回, 活動に加わってくれた住民は130名であった. これらの学習から, 歯科衛生士の会員は継続的に刷掃援助することで口腔が改善することに確信をもち, この体験から診療所, 市町村, 障害者などへのかかわりをそれぞれ進化させた. 市町村事業では継続的刷掃の成果を保健師が評価し, 継続的な事業を企画した. 診療所では刷掃による口腔改善をスタッフが理解し, 平成11~14年まで77回の勉強会が実現し, その結果14年の歯ブラシ売上は1,380本となった. また, 障害をもった患者さんへ刷掃援助を続けた例では, 保健師の仲立ちでこの障害者が町のボランティアとして活躍し, 小規模作業所へ通所する道が開けた. 病院歯科では, 休憩時間に患者へ継続的刷掃援助を行った. 口腔が改善した患者が, 患者を紹介する実績を評価した歯科医師が衛生士を一員とするシステムを作った. 療育センターの衛生士は, 自閉症の男性とその母親にあぐらでゆったりとした刷掃を繰り返した. それまでわが子を対面の馬乗りで磨いていた母は, 心地よさを体験して以来, 息子にあぐら磨きでかかわるようになり, 「親子の至福のひととき」と述懐してくれた. これらの体験を通して, 衛生士の刷掃技術や人とかかわる力が向上し, また, 患者, 住民の口腔が改善していく事実を歯科医師や保健師, 看護師などが確認したことで, 衛生士の専門性に対する理解が得られた. また, 的確な口腔保健の情報とスキルを住民, 患者が身につけると, それを仲間に広めるという専門職を乗り越える力が発揮されることを学んだ. 今後も住民一人ひとりとかかわる地域活動を通して, 衛生士の専門性を高める努力を積み重ねたい. |
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ISSN: | 0023-2831 |