各種象牙質接着システムの接着疲労特性
「緒言」エナメル質に対するリン酸処理法が確立して以来, 接着歯学における研究の対象は象牙質に向けられ, より優れた強固な象牙質接着システムの開発が望まれている. しかしながら, 象牙質は構造上その組成から湿潤度が高く, 多くの有機質成分から構成されているため, 疎水性レジンの接着を極めて困難にしている. 従来の象牙質接着は, エナメル質と同時に酸処理を施すことにより得られていたが, dentinal plugの除去による歯髄為害作用や歯髄内液の流出による接着性の阻害, あるいは酸処理によるコラーゲンの変性などさまざまな問題が報告されており, 現在では, 透過性を抑制し外来刺激の防御と成り得るd...
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Published in | 神奈川歯学 Vol. 30; no. 4; pp. 429 - 441 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
神奈川歯科大学学会
30.03.1996
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ISSN | 0454-8302 |
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Summary: | 「緒言」エナメル質に対するリン酸処理法が確立して以来, 接着歯学における研究の対象は象牙質に向けられ, より優れた強固な象牙質接着システムの開発が望まれている. しかしながら, 象牙質は構造上その組成から湿潤度が高く, 多くの有機質成分から構成されているため, 疎水性レジンの接着を極めて困難にしている. 従来の象牙質接着は, エナメル質と同時に酸処理を施すことにより得られていたが, dentinal plugの除去による歯髄為害作用や歯髄内液の流出による接着性の阻害, あるいは酸処理によるコラーゲンの変性などさまざまな問題が報告されており, 現在では, 透過性を抑制し外来刺激の防御と成り得るdentinal plugは除去せず, 表面の改質を目指す表面処理剤や, 接着を向上させるさまざまなボンディング剤や象牙質プライマーの開発が行われている. このような象牙質に対する接着性能の向上により長期の臨床成績において良好な予後が期待されるが, 接着初期に得られる高い接着力も修復直後から加わる咬合力や温熱的ストレスあるいは水の影響等により, 経時的に低下することが懸念される. |
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ISSN: | 0454-8302 |