プロトンポンプ阻害薬がHelicobacter pylori便中抗原測定法の判定結果に与える影響についての検討

「背景」胃食道逆流症の患者や非ステロイド性抗炎症薬または低用量アスピリンの内服者など, プロトンポンプ阻害薬 (PPI) の休薬が困難な症例は少なからず存在する. 感染診断における非侵襲的検査法としてHelicobacter pylori (H. pylori) のウレアーゼ活性を利用した13C-尿素呼気試験 (UBT) が頻用されているが, PPIはウレアーゼ活性に影響を及ぼすことから, PPIを内服している患者に対するUBTでは偽陰性が生じやすい. 一方, 便中抗原測定法 (SAT) は菌由来の抗原を直接測定するため, PPIによるウレアーゼ活性への影響を受けにくいことが想定される. しか...

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Published in日本ヘリコバクター学会誌 Vol. 25; no. 2; pp. 74 - 77
Main Authors 梶原祐策, 下山克
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ヘリコバクター学会 15.01.2024
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ISSN2187-8005
2187-8005

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Summary:「背景」胃食道逆流症の患者や非ステロイド性抗炎症薬または低用量アスピリンの内服者など, プロトンポンプ阻害薬 (PPI) の休薬が困難な症例は少なからず存在する. 感染診断における非侵襲的検査法としてHelicobacter pylori (H. pylori) のウレアーゼ活性を利用した13C-尿素呼気試験 (UBT) が頻用されているが, PPIはウレアーゼ活性に影響を及ぼすことから, PPIを内服している患者に対するUBTでは偽陰性が生じやすい. 一方, 便中抗原測定法 (SAT) は菌由来の抗原を直接測定するため, PPIによるウレアーゼ活性への影響を受けにくいことが想定される. しかし, 海外の研究でPPIはSATの精度を低下させたと報告されている. キットによって使用されている抗体が認識する抗原は異なっており, 特に海外産と国産のキットの違いが研究のアウトカムに影響を与えうることが知られており, 実際に既存の国産のキットではPPIの内服前後でH. pyloriの抗原性が保持されたとの報告や, PPIを内服していても大多数の症例で除菌療法後の効果判定が可能であったとの報告がある.
ISSN:2187-8005
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