Endobronchial Watanabe Spigot (EWS) により外科治療を回避できた有瘻性膿胸の2症例

「要約」 - 「はじめに.」 有瘻性膿胸は抗生剤投与・胸腔ドレナージのみでは改善せず, 開窓術など侵襲的な外科治療を要する症例が多い. 今回有瘻性膿胸に対してEndobronchial Watanabe Spigot (EWS) を用いた気管支充填術が奏功し, 外科治療を回避できた2症例を経験したので報告する. 「症例1.」 40歳代女性. 左肺下葉に浸潤影を認め, 精査目的で経気管支肺生検を施行した. 検査10日後に発熱および左胸痛を認め, 有瘻性膿胸の診断で入院加療となった. しかし気漏の改善を認めなかったため, 左B9にEWSを充填し, 気漏を閉鎖し得た. 「症例2.」 70歳代男性....

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Published in気管支学 Vol. 43; no. 1; pp. 56 - 59
Main Authors 浅野久敏, 荒川智嗣, 野田祐基, 加藤大喜, 柴崎隆正, 森彰平, 大塚崇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器内視鏡学会 25.01.2021
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Summary:「要約」 - 「はじめに.」 有瘻性膿胸は抗生剤投与・胸腔ドレナージのみでは改善せず, 開窓術など侵襲的な外科治療を要する症例が多い. 今回有瘻性膿胸に対してEndobronchial Watanabe Spigot (EWS) を用いた気管支充填術が奏功し, 外科治療を回避できた2症例を経験したので報告する. 「症例1.」 40歳代女性. 左肺下葉に浸潤影を認め, 精査目的で経気管支肺生検を施行した. 検査10日後に発熱および左胸痛を認め, 有瘻性膿胸の診断で入院加療となった. しかし気漏の改善を認めなかったため, 左B9にEWSを充填し, 気漏を閉鎖し得た. 「症例2.」 70歳代男性. 右下葉肺結節に対し, 右肺下葉切除術を施行した. 術後5か月日に発熱と咳嗽を認め, 胸部X線写真で右肺の浸潤影およびniveauが出現した. 採血で炎症反応の高値を認め, 有瘻性膿胸と診断し入院加療となった. 胸腔ドレナージのみでは改善しなかったため右肺B1およびB2にEWSを充填し, 気漏を閉鎖し得た. 「結語.」 有瘻性膿胸に対してEWSにより外科治療を回避し得た2症例を経験した.
ISSN:0287-2137