運動負荷心電図の右側胸部誘導は虚血性心疾患の検出率を高めるか?

トレッドミルによる連動負荷心電図判定に右側胸部誘導を付加することで, 診断精度が向上するか否かを, 通常の12誘導心電図に加えて, V3RからV6Rの右側4胸部誘導を評価した連続506症例から, 冠動脈造影を施行した157例(男116例, 女41例, 平均年齢66歳)を対象に検討した. 右側胸部誘導の陽性例は3例のみであり, そのうち右側胸部誘導の変化のみで陽性と判定した例は1例だけであった. また, 右側胸部誘導のST変化は, すべてST上昇という形を取り, なおかつ全例にaVR誘導のST上昇を伴った. 12誘導のみで判定した場合および右側胸部誘導評価を加えて判定した場合の感度, 特異度,...

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Published in心臓 Vol. 34; no. 2; pp. 91 - 96
Main Authors 上嶋健治, 小林昇, 鎌田潤也, 斎藤雅彦, 山崎琢也, 千葉育雄, 菖蒲沢実, 嘉村幸恵, 渕沢明子, 安保博子, 川村富喜子, 平盛勝彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 丸善 15.02.2002
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ISSN0586-4488

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Summary:トレッドミルによる連動負荷心電図判定に右側胸部誘導を付加することで, 診断精度が向上するか否かを, 通常の12誘導心電図に加えて, V3RからV6Rの右側4胸部誘導を評価した連続506症例から, 冠動脈造影を施行した157例(男116例, 女41例, 平均年齢66歳)を対象に検討した. 右側胸部誘導の陽性例は3例のみであり, そのうち右側胸部誘導の変化のみで陽性と判定した例は1例だけであった. また, 右側胸部誘導のST変化は, すべてST上昇という形を取り, なおかつ全例にaVR誘導のST上昇を伴った. 12誘導のみで判定した場合および右側胸部誘導評価を加えて判定した場合の感度, 特異度, '正確度はおのおの76%, 86%, 82%と78%, 86%, 82%で, 精度はほとんど変わらなかった. 右側胸部誘導陽性例の3例中, 2例が右冠動脈病変であったこと, 左前下行枝が責任冠動脈であった1例も, 虚血領域は心尖部領域であった. トレッドミルによる運動負荷心電図検査を施行する際, 右側胸部誘導(V3RからV6R)を付加しても, 診断精度はほとんど変わらなかった. ただし, 右側胸部誘導の変化はST上昇として現れ, aVR誘導のST上昇を伴うこと, および右冠動脈病変に多く合併することから, 下壁領域の心内膜下虚血を反映する可能性がある.
ISSN:0586-4488