当院における切除不能膵癌に対する温熱療法, 放射線療法の治療成績

【目的】当院では, 平成8年3月から平成15年6月までの7年間に, 18例のstage IVの切除不能膵癌に対してThermotron RF-8による温熱療法(以下HT), 術中照射(以下IOR), 放射線外照射(以下RTx)を行ってきたので, 治療成績を報告する. 【症例】stage IVa7例, stage IVb11例, 男性11例(45~77歳, 平均59歳), 女性7例(58~87歳, 平均71歳)であった. 治療法は5つに大別され. HT+IOR+RTxを3例, IOR+RTxを3例, HT+RTxを5例, RTxのみを6例, HTのみを1例に行った. 【結果】(1)初診時または治...

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Published in日本ハイパーサーミア学会誌 Vol. 19; no. 4; pp. 210 - 211
Main Authors 平尾幸一, 堀上謙作, 米満伸久, 重政有, 羽田野和彦, 清水輝久, 國崎忠臣, 中嶋喜代子, 仁田吉郎, 林一俊, 前田博司, 川上かをる, 林田昌之, 沖本智昭, 南和徳, 内田孝俊, 林靖之, 林邦昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ハイパーサーミア学会 01.12.2003
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ISSN0911-2529

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Summary:【目的】当院では, 平成8年3月から平成15年6月までの7年間に, 18例のstage IVの切除不能膵癌に対してThermotron RF-8による温熱療法(以下HT), 術中照射(以下IOR), 放射線外照射(以下RTx)を行ってきたので, 治療成績を報告する. 【症例】stage IVa7例, stage IVb11例, 男性11例(45~77歳, 平均59歳), 女性7例(58~87歳, 平均71歳)であった. 治療法は5つに大別され. HT+IOR+RTxを3例, IOR+RTxを3例, HT+RTxを5例, RTxのみを6例, HTのみを1例に行った. 【結果】(1)初診時または治療後に遠隔転移が出現した10例の生存期間は平均5.7ヶ月と短く, 治療法による違いは見られなかった. 残りの8例では遠隔転移は認められず, 平均生存期間は12.6ヶ月であった. (2)IORを行った6例中3例に肝転移があり, うち2例の生存期間は温熱療法の有無に関わらず7ヶ月以内であった. (3)HT+IOR+RTxを行った1例では, 遠隔転移はなかったが, 病変の範囲が広く治療3ヶ月後に局所再発を認め, 生存期間は4ヶ月であった. (4)治療開始から1年以上生存した4症例の組織型の内訳は, 最長22ヶ月の症例(HT+RTx)は粘液産生腫瘍, 生存期間19ヶ月の症例(RTxのみ)は小細胞癌, 生存期間15ヶ月の症例(IOR+RTx)は浸潤性膵管癌であり, もう1例の浸潤性膵管癌(HT+IOR+RTx)は治療開始後19ヶ月を経過した現在も外来通院中である. この内, HTを併用した2例の方が生存期間は長かった. 【結語】IOR+RTx+HTの三者併用療法が, stage IVの切除不能膵癌に対する最も有効な治療法であると考えられた.
ISSN:0911-2529