非溶血性輸血副作用を誘導した血小板製剤中の抗顆粒球抗体の生理活性と標的抗原の解析

【目的】非溶血性輸血副作用(NHTRs)を誘導した血小板製剤(PC)中に特異性不明の抗顆粒球抗体(IgG)が検出された. 近年, NHTRs発症のメカニズムの一つとして, 抗顆粒球抗体による好中球活性化が考えられている. そこで, 抗体の輸血副作用への関与を検証するため, in vitroにおいて, 当該PCのドナー血漿(抗血漿)による好中球活性化および, 抗体の標的抗原について検討した. 【方法】(1)抗血漿と好中球とが交差反応を示す健常人(n4)の全血から血漿を除去し, PBS(Ca++, Mg++, glucose加)に再浮遊して洗浄全血を調整した. 洗浄全血と抗血漿を混合し, 好中球の...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 53; no. 1; p. 65
Main Authors 若本志乃舞, 藤原満博, 高橋大輔, 宮崎孔, 佐藤進一郎, 斉藤誠, 森岡正信, 加藤俊明, 山本定光, 東寛, 池田久實
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血・細胞治療学会 26.02.2007
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ISSN1881-3011

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Summary:【目的】非溶血性輸血副作用(NHTRs)を誘導した血小板製剤(PC)中に特異性不明の抗顆粒球抗体(IgG)が検出された. 近年, NHTRs発症のメカニズムの一つとして, 抗顆粒球抗体による好中球活性化が考えられている. そこで, 抗体の輸血副作用への関与を検証するため, in vitroにおいて, 当該PCのドナー血漿(抗血漿)による好中球活性化および, 抗体の標的抗原について検討した. 【方法】(1)抗血漿と好中球とが交差反応を示す健常人(n4)の全血から血漿を除去し, PBS(Ca++, Mg++, glucose加)に再浮遊して洗浄全血を調整した. 洗浄全血と抗血漿を混合し, 好中球の活性酸素産生能をフローサイトメトリーにて測定した. 抗Fcレセプター抗体の影響をみる場合には, 洗浄全血と抗FcγRIIa抗体または, 抗FcγRIIIb抗体をプレインキュベーションした. 抗血漿中のIgG分画の影響をみる場合には, protein Aビーズにて処理した抗血漿を用いた. 好中球活性化の陽性対照としてTNF-αまたはfMLP刺激を, 陰性対照として抗顆粒球抗体陰性AB型血漿またはPBSを用いた. (2)好中球の可溶化液をSDS-PAGEにて分離し, 抗血漿をプローブとしてウェスタンブロッティングを行った. 【結果】抗血漿により, 活性酸素産生が誘導された. 抗血漿による活性酸素産生は, 血漿からのIgG分画の除去及び, 抗FcγRIIa抗体によって抑制されたが, 抗FcγRIIIb抗体によっては抑制されなかった. ウェスタンブロッティングにおいて, 抗血漿と反応する好中球の約50kDaの蛋白質が検出された. 【考察】NHTRsの原因と考えられた抗血漿は血漿中のIgG及び好中球のFcγRIIa依存性に好中球活1性化能を示した. このことから, 抗血漿中の抗体は生理活性を有し, NHTRs発症に関与した可能性がある. 抗血漿と反応する好中球の約50kDaの蛋白質の同定, 及びその好中球の生理活性への関与について更に検討する必要がある.
ISSN:1881-3011