特発性肺線維症(IPF)における気管支肺胞洗浄液(BALF)中の好中球細胞分画の臨床的意義
[目的]BALFの細胞分画の解析は, 間質性肺疾患の診断に有用と考えられている. 今回我々はBALF中の好中球細胞分画の臨床的意義を, 好中球エラスターゼを指標に明らかにすることを目的に以下の検討を行った. [対象と方法]対象は開胸肺生検にて診断されたIPF患者22例(病理学的にはUIP, またはNSIP), および肺炎患者10例である. これらの症例においてBALF中, および血漿中のエラスターゼをenzyme-linked immunosorbent assayを用いて測定した. BALFの値はアルブミンで補正した. また開胸肺生検にて得られた22組織において抗エラスターゼ抗体を用いた免疫...
Saved in:
Published in | 気管支学 Vol. 20; no. 3; p. 277 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本気管支学会
25.04.1998
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0287-2137 |
Cover
Summary: | [目的]BALFの細胞分画の解析は, 間質性肺疾患の診断に有用と考えられている. 今回我々はBALF中の好中球細胞分画の臨床的意義を, 好中球エラスターゼを指標に明らかにすることを目的に以下の検討を行った. [対象と方法]対象は開胸肺生検にて診断されたIPF患者22例(病理学的にはUIP, またはNSIP), および肺炎患者10例である. これらの症例においてBALF中, および血漿中のエラスターゼをenzyme-linked immunosorbent assayを用いて測定した. BALFの値はアルブミンで補正した. また開胸肺生検にて得られた22組織において抗エラスターゼ抗体を用いた免疫組織染色にて好中球分布を検討した. [結果と考察]IPR患者および肺炎患者の血漿およびBALF中のエラスターゼは正常非喫煙者に比していずれも高値を示した. しかしながらBALF中の好中球比率とBALF中のエラスターゼ値とが相関するのは肺炎患者のみであった. IPF患者においてはBALF中に好中球の少ない症例についても, 免疫染色にて組織学的に好中球が多数確認された. IPFにおいては, 気管支肺胞洗浄による好中球の回収は困難であると考えられた. |
---|---|
ISSN: | 0287-2137 |